2025年をマーケティングDX着手元年に!地方で活躍するDX推進責任者が語る「組織づくりと成果最大化の秘訣」〜前編〜

市場の飽和によって首都圏や大都市部における競争が激化するなか、生成AIなどの最先端技術を活用したマーケティング戦略が急速に進展しています。一方、地方は競争が比較的緩やかではあるものの、少子高齢化や過疎化による労働人口の減少、集客の課題に直面しており、DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じた業務効率化や多様化する顧客ニーズに応じた商品・サービスの開発、効果的な情報発信が急務になっています。今後、地方にも競争激化の波が押し寄せることが予想されるため、持続可能な企業成長を実現するためには、DXの推進が避けられません。
2025年1月24日、シナジーマーケティング(以下、当社)は、「地方で活躍するDX推進の責任者が語る組織づくり」をテーマにした座談会をヒルトン大阪で開催しました。本座談会は、地方のDX推進における「推進ノウハウと成果を最大化するための秘訣」を共有いただくことを目的に、中京学院大学の髙栁昌弘様、岡山中央病院の渡邉伸作先生、新宮信用金庫の和平幸勝様をゲストにお迎えし、当社社長の奥平とコンサルタントの鈴木も交えて語り合いました。
対談メンバー

髙栁 昌弘 氏
学校法人中京学院 戦略企画本部長
関西大学商学部卒業後、日本電信電話株式会社に入社し、法人営業、営業戦略、ICT活用コンサルティング業務に従事。特に「平成の大合併」と言われる市町村の合併に係る複数のシステムとネットワークの統合とICTネットワークを活用した地域活性化コンサルティングに力を注いだ。現法人に転職の後は、情報化投資、サイバーセキュリティ、施設整備、学生支援、キャリア開発、マーケティング、学生募集、戦略企画など多岐にわたる業務執行責任者を務める。

渡邉 伸作 先生
社会医療法人鴻仁会 経営企画室室長
岡山中央病院 副院長 診療技術部部長 医療安全管理室長
1993年に岡山中央病院に診療放射線技師として入社後、2000年からコメディカル部門管理者(放射線、検査、栄養士、薬剤師、臨床工学技士、視能訓練士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)、物流資材部門管理者、外来副師長、手術室副師長、訪問看護施設長、居宅支援責任者、地域連携室室長、広報部ディレクター、院長直属責任者、MS法人株式会社代表取締役社長(派遣請負事業、会員制フィットネスクラブ、セントラルキッチン等の運営)を経て、2018年から社会医療法人鴻仁会の経営企画室室長、岡山中央病院の副院長、診療技術部部長、医療安全管理室室長等を務める。

和平 幸勝 氏
新宮信用金庫 常務理事 業務部長
新宮信用金庫へ入庫後、20年余り現場での業務に従事した経験から、お客様と直接接点(Face to Face)を持つことの重要性を認識しつつ、同時に非対面における顧客接点機会の創出、商品リリース時のPR戦略などのチャネル戦略の重要性を考え対応する。
現在は、DX自走化支援や取引先のDX支援、自金庫職員のDX人材育成にも取り組む。

奥平 博史
シナジーマーケティング株式会社 代表取締役社長 兼 CEO
経営学修士(MBA)。2002年に通信ベンチャー企業へ入社。ソリューション営業、Webメディア事業の立ち上げなどを経て、2009年にシナジーマーケティングに入社。クライアント企業様へのCRM導入ディレクター、事業責任者を経て、2017年に取締役副社長、2024年に代表取締役社長兼CEOに就任。経営戦略やブランディング、人事、コーポレート部門を統括し、全社のDX推進と組織作りをリードする。

鈴木 英利佳
シナジーマーケティング株式会社 DX事業部 コンサルタント
現役コンサルタントとして、toC・toBを問わず、ブラザー販売株式会社様、リンナイ株式会社様、株式会社クボタ様、SCSK株式会社様などをはじめとする100社以上の幅広い業種・企業規模に、伴走支援型で課題解決を提供。売上向上やリード獲得などで数多くの実績を持ち、高い評価を得ている。戦略的かつ実践的なアプローチで、常に最適な解決策を提案。
※部署名・役職は取材当時(2025年1月)のものです
テーマ1:マーケティング現場におけるDXの必要性
シナジーマーケティング 奥平:
本座談会では、「マーケティング現場におけるDXの必要性」「DX推進に向けた社内啓蒙・組織づくり」「DXによる生産性・効果最大化の秘訣」について、ゲストの皆さまの知見やご意見をお伺いできればと思います。
シナジーマーケティング 鈴木:
これからDXに着手される企業様にとってヒントとなる情報をお伝えできればと考えていますので、よろしくお願いします。まず一つ目のテーマである「マーケティング現場におけるDXの必要性」について、その背景も交えてお考えをお聞かせください。
中京学院大学 髙栁:
少子高齢化および首都圏・都市部への一極集中の流れは、今後も加速していくと考えられます。また、価値観の多様化を背景に、高校の進路指導でも、進路担当や担任教員などから生徒に進学先を推奨する従来の指導も難しい状況があります。そのため、「いかにして大学の情報を高校生にダイレクトに届け、入学の意向を高めることができるか」が重要になります。地方の小規模大学は、首都圏の大規模大学が展開するようなマス向けの戦略だけでは難しいので、適切なコストやタイミングを見極め、ターゲット層に正確にリーチできる方法を考えなければなりません。
このような背景に加えて、本学は直近で系列高校との法人分離を行ったため、今後は系列校経由の入学者の減少が予想されています。これらの課題を解決する一手として、デジタルマーケティングの活用が最適だと考えました。
ゴールは「受験者数を増やし、本学を選んで(入学)いただくこと」です。達成するために、まず本学を知ってもらうための認知施策やオープンキャンパスなどのリアルイベントへの参加を促す施策など、段階的に志望度を高める活動を継続して行うことが必要です。デジタルマーケティングの特性を活かした情報発信やイベント企画・集客は、今後の経営戦略および広報戦略の要になると考えています。

岡山中央病院 渡邉:
当院がデジタルマーケティングに着手したきっかけは、当院の移転統合でした。「大きな投資を行って新しい病院を建てたら、自然に患者さんが増えて経営が成り立つ」という発想では、経営が成り立たなくなるリスクがあると思いました。当院の理事長と院長に相談し、マーケティングやブランディング戦略を進めていった延長上に、デジタルマーケティングの活用がありました。今はまだ医療業界ではあまり進んでいない領域ですが、SNSやインターネットが主流の時代に、医療においてもデジタルを通じて患者さんのニーズの把握を行い、地域に適切な医療情報を発信することは、今後ますます重要になってくると考えています。
医療者の多くは「病気の患者さんの役に立ちたい。より良い医療を提供したい」という思いを持って、日々研鑽を積み、医療の質を高めています。医療機関は広告規制が厳しいですが、医療者の大事な思いや求められる医療の質について、嘘や大げさな表現をせず、正確で分かりやすく、謙虚な姿勢で地域に伝えることは、我々医療側の大きな社会的責任であると考えています。デジタルマーケティングは、それを実現する鍵となります。
新宮信用金庫 和平:
当金庫は「Face to Face」という基本姿勢を持ち、経営戦略としても「顧客接点の創出」を掲げています。しかし、コロナ禍の影響で、対面から非対面のコミュニケーションに切り替える必要に迫られ、2021年4月に策定した長期3か年経営計画の一つとして「デジタル化への対応」を重点目標に据えることになりました。これが、デジタルマーケティングを中心としたDXに取り組むきっかけになりました。
加えて、当金庫のお客様である地域事業者様も同様の状況だったことも推進の後押しになりました。新宮エリアは少子高齢化が進み、人口減少の傾向にあるのですが、一方で、熊野古道が近く、古くから観光業や小売業を営む事業者様が多く、非対面での販路拡大に苦戦されている状況でした。
これらの背景から、「当金庫がデジタルマーケティングの知識・スキルを学ぶことで業績向上を目指すのと並行して、地域事業者様にも同様の機会を提供すれば、地域全体の活性化ができるのではないか」と考えました。新宮市に元気な事業者様が増えれば、地域に根ざす当金庫の成長にもつながります。
シナジーマーケティング 鈴木:
昨今の日本市場は飽和状態で競合他社の情報が溢れているため、どんなに独自の強みや競合優位性があったとしても、お客様のもとに適切な情報を届けることができなければ認知されず、収益にも結びつかない現状があります。皆さまが必要性を感じておられる「ターゲット層にリーチできる適切な情報発信」はまさにデジタルマーケティングが得意とする領域なので、取り組むことで一定の効果が見込めます。
続いて、実際のお取り組みについて、お聞かせください。
中京学院大学 髙栁:
主に、新しいチャネルへのアプローチと来校型リアルイベントの改善を行いました。本学は岐阜という立地上、学校説明会やオープンキャンパスなどを開催しても来場者を集めることが容易ではなく、「受験生をいかに呼び込むか」が大きな課題でした。
課題解決に向けて、まずは本学の存在を知って興味を持ってもらうために、スマートフォンでの閲覧に最適化した受験生向けの専用サイトを立ち上げました。事前に本学の強み・弱み・特徴を整理したうえで、本学の学生や系列校の高校生はもちろん、本学を選ばなかった専門学校生や通信制課程の生徒たちからも意見や要望を収集し、専用サイトのコンテンツに反映しました。立ち上げたあとは、分析・検証をして効果を確認しながら改善を続けています。並行して、学生たちの意見をもとに、リアルイベントの企画改善も実施しています。ターゲットと近い層にヒアリングして企画に反映し、PDCAをしっかり回すことを意識して進めています。
岡山中央病院 渡邉:
当院は事業計画においても、「各部門が何を大事にし、軸にするべきか」について、職員への意識共有と納得感を重視しています。顧客インサイトを明確にするプロセスが患者さんに寄り添う姿勢にもつながるため、デジタルマーケティングにおいても、当院の強みや弱み、特徴の整理とそれらをもとにした情報発信(テレビ番組、ラジオ、パンフレット、SNS運用、MEO対策など)を、今回シナジーマーケティングさんの力を借りて、関係部署および職員で連携して行いました。
また、人によって考え方や感じ方が違うため、全社的に新しい取り組みを始める際に中心的な役割を果たす管理者だけで推進しすぎると、「周囲がついてこられなくなり、結果、組織や個人の成長に繋がらず、良い取り組みにならなかった」という状況に陥りがちです。そのため、当院では、全員が納得したうえで働きがいや誇りを持ってDXに取り組めるように、丁寧な説明や意見の収集などを徹底し、心理的安全性を重視した情報共有を心がけています。
情報発信においては、顧客インサイトの調査・分析と当院の状況整理に時間をかけました。当院が伝えたい情報と利用者が必要とする情報を擦り合わせないと、適切な情報発信にはならないためです。
医療は、顧客インサイトの理解が不可欠な業界でありながら、十分に実践されていない状況があります。例えば、診療放射線技師が検査を行う際に、技師のなかには「質の高い画像を提供することが、医療の質の観点において一番重要である」と考える人がいますが、患者さんからすると、医師から「CTの画像検査をします」と言われて、「質の高い画像を撮ってほしい」とは考えません。質の高い画像であることは、あくまで前提です。実際は、画像の質ではなく、診療放射線技師が「患者さんの不安な気持ちを汲み取り、自分事のように感じて、心から寄り添っている」ことが伝わるような対応をしてほしい、というニーズが高いです。
このことから、改めて医療者が患者さんの立場に立って物事を見つめられるように、昨年度から病院のさまざまな職種で集まって話し合い、計画を立てて来ました。それをデジタルマーケティングに上手く融合し、いかにホームページなどで発信していくかが、直近の課題です。

新宮信用金庫 和平:
当金庫では、デジタルマーケティング業務の自走を実現するために、全職員が一丸となって「本気の研修」に取り組みました。渡邉先生のお話にもありましたが、新しい取り組みで一定の成果を出すためには、担当職員だけでなく職員全員で真剣に向き合う必要があるためです。
具体的には、シナジーマーケティングさんに協力いただいて、全職員を対象に「デジタルマーケティングの基礎を講義とワークショップで学ぶ研修(デジハイク)」を、デジタル化施策担当職員を対象に「未経験でも現場で使える実務的なデジタルマーケティングスキルを短期間で身につけられる研修(DX BOOSTER)」を、渉外担当職員には「営業研修(DX BOOSTER)」を実施しました。その結果、Webサイトやデジタルマーケティング施策のより深い分析や調査が可能になり、「お客様が必要としている情報はなにか」を理解したうえで施策立案や営業提案ができるようになりました。
加えて、当金庫は地域事業者様の事業発展にもコミットしたいと考えているため、地域事業者様にもデジハイクをご提供しました。大変評判がよかったことから、2025年2月からは、より実践的なDX BOOSTERをご提供する予定です。
▶︎新宮信用金庫様のお取り組みの詳細は、公式サイト掲載の事例記事をご覧ください。
中京学院大学 髙栁:
DX BOOSTERを受講された際に、ターゲット層の調査・分析を通して顧客理解を進められたかと思います。そのなかで、どのような気づきがありましたか。意外な発見などもあれば、ぜひお伺いしたいです。
新宮信用金庫 和平:
公式Webサイトのリニューアルに生かすために調査・分析をしていたのですが、時代の流れから、お客様は「口座開設などの窓口で時間の掛かる作業は、すべてインターネット上でスムーズに完結したい」といった要望をお持ちだと考え、積極的にデジタル化を進めようとしていたんですが、まったく違っていました。
近隣エリアのお客様にアンケート調査を実施したところ、「インターネット上(デジタル)で、すべてを完結したい」という意見もあるにはありましたが、多くのお客様が「窓口で口座開設したい」と回答されていたんです。このことから、「対面を主軸に置きつつ、インターネットを活用されたい方の需要にも応える」という方向で、サイトの改修を進めることにしました。調査していなかったら、お客様のニーズに気付けないまま、真逆の方向に改修してしまうところでした。改修後、一定の効果が出ているので、デジタルマーケティングの知識・スキルを学んで顧客理解を深めることは、経営の観点からも非常に重要だと考えています。
中京学院大学 髙栁:
真逆の結果が出た、というのは興味深いですね。顧客ニーズを深掘りする重要性について、改めて認識できました。
岡山中央病院 渡邉:
大変勉強になるお話をありがとうございます。医療機関はデジタルマーケティングやブランディングの側面において、他業種よりも遅れていると認識していまして、髙栁さんと和平さんに、これらを進めるうえでのポイントをぜひお伺いできればと思います。
中京学院大学 髙栁:
重視していることは3つあります。「何のためにやるのか」を忘れないこと、安全性に配慮しつつも新しい技術や考え方を積極的に取り入れること、素早くPDCAを回し、実行するかしないかの意思決定をすることです。どの業界でも、ニーズの多様化およびデジタル化の流れを無視することはできません。ターゲットや目的にあわせた適切な施策を素早く実行・検証し、試行錯誤を重ねていくことが、成果を出すための近道ではないかと考えています。
新宮信用金庫 和平:
ブランディングの側面では、「お客様に提供するサービスの差別化」と「従業員満足度(ES)向上による職員の定着」の両方の目線が大切だと考えています。医療従事者と患者さんの関係に近い部分もあるかもしれないのですが、金融機関は単にお客様にお金を預けていただいたり、融資をする場ではなく、お客様の事業成長に向けた打ち手をともに考え、伴走することで、つながりを保っている側面があります。日々お客様と接する職員の仕事ぶりや印象が信用金庫全体のブランドイメージにもつながっていくので、従業員満足度は重視すべき指標だと考えています。そのため、当金庫では提供サービスの差別化やデジタルマーケティングの施策と同じくらい、職員に関する施策も重視しています。

テーマ2:DX推進に向けた社内啓蒙・組織づくり
シナジーマーケティング 奥平:
DXを推進するためには、社内への啓蒙活動や組織づくり(体制構築)が重要になってきます。この点について、どのような工夫をされたのかお聞かせください。
新宮信用金庫 和平:
役職や職域を超えてフラットに意見交換できる全職員研修を実施し、一般職員でも支店長に対して「このようにやってみてはどうでしょうか」といった意見や想いを率直に伝えられる体制の構築を目指しました。結果として、デジタルマーケティングの知識・スキルが身についただけでなく、ポジションに関係なく、DX推進という大きな目的に向かって一丸となって取り組む姿勢や意識、体制を作り上げることができました。
狙い通りの成果が出せた要因としては、経営計画を策定した段階から上層部に全社員研修を実施する意義と効果を共有し、上層部からも一般職員に対して研修の必要性を継続的に伝えたことが挙げられます。何事もそうですが、目的から逆算した地道な取り組みなしに大きな成果を得ることはできません。
岡山中央病院 渡邉:
デジタルマーケティングをはじめとするDX活動に携わったことがない職員が大半でしたので、まずは小さくてもいいので成功体験を積むことが必要だと考えました。例えば、「患者さんにアンケートを取る」という施策があったとします。単に「食事はおいしかったですか」という結果を聞くと「はい、いいえ」の回答しか得られません(患者満足:PS)が、「一番おいしかった食事は何ですか」「一番おいしくなかった食事は何ですか」といったプロセスを聞く質問にすれば、より詳細かつ改善につながる情報を得ることができます(患者経験価値:PX)。患者さんの体験を細かく拾い上げることで、顧客インサイトに対する意識や感度が上がり、DXの推進体制の改善にもつながりました。
中京学院大学 髙栁:
成功体験を得られる前は、デジタルマーケティングやデジタル化に抵抗を感じる職員の方もいたのではないかと推察するのですが、どのように向き合われたのですか。
岡山中央病院 渡邉:
もちろんそういう方もいました。一つ目のテーマで「全職員が納得して進めることを重視している」と答えたのも、この点があったからです。新しい取り組みを進める際には、推進を担うメンバーと周辺のメンバーの間に橋渡し役が必要だと考えています。幸い、これまでにさまざまなシステムやデジタルに対して前向きにチャレンジして乗り越えてきた経験がある職員もいるので、彼らに橋渡し役をお願いすることもあります。これらの工夫から、初めての取り組みで不安がある職員の方がいる際も、丁寧に時間をかけて会話すれば、理解されることが圧倒的に多い状況になっています。
先程、和平さんもおっしゃっていましたが、対象がデジタルであっても、周囲の理解を得るためには一歩一歩積み重ねていくような泥臭い取り組みが肝要だと考えています。
髙栁さんのお取り組みもぜひお聞かせください。

中京学院大学 髙栁:
詳細にご教示いただき、ありがとうございます。私の方では、年次の経営計画に広報推進を組み込み、全職員が一堂に会する研修の場で、その目的や方針を説明しました。並行して、広報チームを編成しました。
チームメンバーは25名で、うち10名はデジタルマーケティング業務を担当します。メンバーを選定する際はデジタルスキルの有無を重視したので、広報未経験のスタッフや若手、学生も起用しています。デジタルマーケティングチームを立ち上げた当初は私が先頭に立って推進していましたが、現在はチームメンバーが舵取りをしてくれています。私はアドバイザー的な立場として関わっている形ですね。
新宮信用金庫 和平:
デジタルスキルのあるメンバーで構成されたとのことですが、デジタル人材の育成プログラムなども導入されているのでしょうか。
中京学院大学 髙栁:
新宮信用金庫さんと同様に、DX BOOSTERを受講しています。学生時代から取り組みに参加してくれている2名について、デジタルマーケティングを担えるコア人材として育ってもらえればと考えています。また、今年度はAI活用による業務効率化に向けて、11名を対象に育成を実施しています。
新宮信用金庫 和平:
AI活用についても研修を実施されているのですね。当金庫も将来的にAIの活用を考えているので、機会がございましたら、プログラムの内容をお伺いしたく思いました。
シナジーマーケティング 奥平:
知見を共有いただきまして、誠にありがとうございます。私も会社をまとめる立場として、従業員一人ひとりが企業課題を自分事として捉え、真剣に向き合ってもらうことが最も重要だと考えています。主体的に課題解決に取り組むための環境づくりとして、「Why(目的)の明確化と発信」「実施することで、お客様・自社・社員にどのようなベネフィットがあるか」「リーダー(社内アンバサダー)の設置および巻き込み」「進捗共有や成功・失敗事例の共有」「従業員の反応を適宜収集し、柔軟に反映」「(ケースにもよるが)インセンティブを設ける」の六つを意識しつつ、推進しています。
鈴木さんが今までご支援してきた企業様はいかがでしたか。

シナジーマーケティング 鈴木:
企業様によってさまざまですが、現状に危機感を持った現場の有志が集まり、ボトムアップでDX推進を啓蒙しようとする企業様もあります。施策の一例を挙げると、「外部講師に依頼して、事業に活かせるデジタルマーケティングの手段を自社向けにカスタマイズしたうえで、現場ですぐに活用できる具体的な講演をしてもらう」「社内のデジタル活用の成功事例を共有会という形で広める」などがあります。いずれの企業様も「『デジタル活用が必要だ』という意識を、全社的に浸透させるためにはどうすればいいか」を検討しつつ、さまざまな施策を試されている、という点は共通しています。
私も外部講師としていくつかの企業様に講演させていただきましたが、現場発信の企画だからか、事前の打ち合わせから社内への周知、実施まで、皆さんとても熱量高く取り組まれているなと感じました。真剣に取り組んでいる人間の熱意は伝わるもので、代表や役員の方がこの動きをキャッチアップして施策に参加されたり、全社に参加を促すメッセージを出されるなど、啓蒙活動を積極的に後押しされる場面も見られました。
▶︎後編(テーマ3:DXによる生産性・成果最大化の秘訣、今後3年間のマーケットの変化予想)はこちら
(取材/編集:経営推進部 ブランドマネジメントチーム)