
消費者のニーズは年々細分化および多様化が進んでおり、一方的な宣伝や広告戦略だけではもはや消費者の心をつかむことが難しくなっています。特に日本の市場では、自身の価値観やライフスタイルに合った商品やサービスを求める消費者が増えており、緻密なターゲティングとパーソナライズが必須となっています。そのため、企業とお客様の間に信頼関係を築き、長期的な消費行動につなげる「ファンマーケティング」の重要性が一層高まっています。
公益社団法人 日本プロサッカーリーグ様(以下、Jリーグ様)も、ファンマーケティングに力を入れている法人のひとつです。現在、スポーツ業界における競合は他競技にとどまりません。インターネット上のすべてのコンテンツをも含めた可処分時間の取り合いとなっています。
そのような状況のなか、シナジーマーケティング(以下、当社)が提供するマーケティングSaaS「Synergy!」を通じて、Jリーグ様がお客様とどのようなコミュニケーションを取り、2024シーズンにおける、リーグ戦史上最多入場者数(2025年1月現在)の実現につなげたのか、お話を伺いました。
■Synergy!とは
毎日のマーケティング活動に寄り添い着実に成果につなげる、CRMから進化したマーケティングSaaS。集客、顧客情報の統合・一元化、クロスチャネル・メッセージング、分析まで、貴社のマーケティング活動を支える。
https://www.synergy-marketing.co.jp/cloud/synergy/
対談メンバー

野溝 忠利 氏
公益社団法人 日本プロサッカーリーグ
事業マーケティング本部 プラットフォーム開発部
部長

一柳 智史 氏
公益社団法人 日本プロサッカーリーグ
事業マーケティング本部 プラットフォーム開発部
プラットフォーム開発担当オフィサー

長島 潤也
シナジーマーケティング株式会社
クラウド事業部 第6アカウントソリューションG
マネージャー

金子 萌香
シナジーマーケティング株式会社
クラウド事業部 第6アカウントソリューションG
営業
※部署名・役職は取材当時(2025年1月)のものです
■公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)
「日本サッカーの水準向上」、「豊かなスポーツ文化の振興」、「国際社会における交流や親善への貢献」という3つの理念を掲げ、日本国内サッカーリーグの頂点に位置するプロリーグであるJリーグを運営し、誰もが気軽にスポーツに関わり、楽しむことができる環境づくり、スポーツを通じて豊かな社会を作ることを目的に様々な活動をしている。
https://aboutj.jleague.jp/corporate/
60あるクラブの理想実現への支援が、Jリーグ全体の成長にもつながる
―― 2016年7月より当社のSynergy!をご利用いただいています。
Jリーグ 野溝:
私たちの部署は、「60クラブがそれぞれの地域で輝く」「トップ層がナショナルコンテンツとして輝く」という2つの成長戦略のもと、世界を視野に入れたさらなる発展を目指しています。具体的には、「Jリーグデジタル共通基盤*1 」の構築・運用によって、全60のクラブに、ファンやサポーターのカスタマージャーニーに沿ったマーケティング施策を実行できる環境の提供や活用支援を行っています。その一環で、Synergy!をはじめとするCRMツールやMAツールを導入しています。
クラブは地域密着型でそれぞれに独自の特徴があるため、こちらが主導で行っているデジタルマーケティング施策以外にも、クラブごとに施策立案・実行・検証を行っていて、全体で1日に100本以上の施策が回っています。クラブごとに実施頻度には差があるので、「現在の施策だけでは物足りないので、こういうことをやりたい」という相談があればそれを実現するためのサポートをしますし、逆に、「人員が足りなくてデジタルマーケティング施策の実行がなかなか難しい」といった場合は私たちの方で主導するなど、臨機応変に対応しています。

Jリーグ 一柳:
具体的には、クラブに蓄積された情報をもとにした集客目的のメルマガ配信や顧客動向の分析を行えるよう、クラブのマーケティング担当者に、ツールの提供だけではなくノウハウの共有も行っています。各種ツールの操作レクチャー会や人材育成講座の開催、成功事例の共有、クラブ間での情報共有・意見交換の機会の創出などですね。CRMツールとあわせてMAツールを活用しているクラブも複数あるので、部署内にサポートデスクを作って技術的な支援も行っています。
過去には、シナジーマーケティングさんに実施いただいたメール文の書き方やSynergy!を使った効果的なメール配信のレクチャー会も実施いただいており、またそのような機会をいただけないか、ご相談中です。
シナジーマーケティング 金子:
近々で実施できるように調整中です。ご要望やご状況にあわせて、メール文作成のような実作業から上流のデジタルマーケティング施策の立案まで、包括的なサポートを提供できることが当社の強みですので、野溝様、一柳様のゴールまでの道のりを、ぜひ多方面でご支援させていただければと考えています。
Jリーグ 野溝:
ありがとうございます。私たちのゴールとしては、Synergy!をはじめとする各種ツールを活用してファンマーケティングを推進することで、「スタジアムを満員にすること」です。Jリーグでは「非日常」というワードをよく使いますが、スタジアムは、日常生活とは異なる非常にエキサイティングな経験をしていただける特別な場です。言葉で説明しても伝わりにくい部分なので、まずは一度足を運んでいただくことが重要になります。同時に、継続して来場いただくための仕掛けも必要になってくるので、お客様とコミュニケーションを取りながらニーズを把握し、適切な情報発信をするように心がけています。
シナジーマーケティング 金子:
現在、お客様とのコミュニケーションの入り口であり要である「会員登録者様へのメール配信」「キャンペーンの応募フォーム」でSynergy!を活用いただいています。具体的にどのような効果があったか、改めてお聞かせいただけますか。

Jリーグ 一柳:
日々のメルマガはもちろん、スタジアムに足を運んでいただくための最初のきっかけとして、年に複数回(春休み期間、ゴールデンウィーク、夏休み期間など)、テレビCMと連動して主に新規・ライト層向けに大規模な招待施策を行っているのですが、その告知や応募で活用しています。
2024年9月の実績では、全60クラブ合計で月単位のメール配信回数は2,000回、メール配信通数ではのべ6,500万を超えています。また、2024シーズンの大規模招待では、応募者数のべ約250万件という結果でした。膨大な件数のメール配信やキャンペーン応募を頻繁に行っていますが、Synergy!は大きな障害もなく安定しており、お客様に迅速かつ正確な情報を届けられるので、とても重宝しています。
シナジーマーケティング 長島:
評価いただき、とてもうれしく思います。ゴールを目指すためには、新規JリーグIDの獲得(新規会員の獲得)が大変重要になってきますが、そこにも貢献できていますでしょうか。
Jリーグ 一柳:
大きく寄与いただいています。応募フォームのカスタマイズ機能を使って、「JリーグIDでログインすると招待に応募できる(応募フォームに入力できる)」といった仕様にすることができたので、順調に獲得できています。

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*1 Jリーグに所属する60のクラブが共通で利用できるデジタルマーケティング活動を行うための基盤システム。試合のチケットやオンラインストアの購入履歴などの顧客情報とJリーグIDを紐づけたマーケティングデータベース。
顧客理解から生まれる「適切かつ継続的なアプローチ」が、成果最大化の鍵
―― 昨年2024シーズンの入場者数は過去最多だったと伺いました。
Jリーグ 野溝:
ありがたいことにたくさんのお客様に来場いただきました。来場者数は、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり2019シーズンがピークでしたが、「2019シーズンを超える」というクラブ・リーグ共通の目標に向かって施策を展開することで、過去シーズン最多入場者数を更新することができました。
Jリーグ 一柳:
2024シーズンで一定の成果を出せたので、これまでの施策は継続しつつ、次はお客様との1to1のコミュニケーションに注力していきたいと考えています。以前に比べて、ニーズの多様化が進んでいるので、お客様のことを深く理解したうえで、それぞれの属性に適した情報をお届けできないとリピーターになっていただくことは難しいと感じています。
まずはメールを送る際のセグメント分けやお客様の属性ごとのラベリングなどを整理し、メールの開封率が上がるように工夫していきたいと考えています。並行して、各クラブのマーケティング担当者が、日々の運用においても十分なリソースを確保できない状態のため、メール配信の作業工数が削減できればと思っています。お客様一人ひとりのニーズにあわせたメール作成・配信の業務が、AIなどの技術を使って手軽に実現できるようになるとありがたいですね。

Jリーグ 野溝:
判断を下す部分は人間がやる必要があるので、完全に自動化することは難しいと思いますが、AIが文章の叩き台を作ってくれるだけでも業務効率は大幅に上がるので、シナジーマーケティングさんの今後の開発に期待しています(笑)。
シナジーマーケティング 長島:
現在、メールコンテンツのネタづくりから原稿作成のフローをサポートするようなツールを鋭意開発中なので、ご期待に沿えればと思います!業務効率化の話題が出ましたが、Jリーグ様は、ファンマーケティングの施策を行うにあたってうまくCRMツールを活用されています。ツールを選定する際はどのようなポイントを重視されていますか。

Jリーグ 野溝:
一番重視しているのは「システムの安定性」ですね。メールの送信件数が膨大かつ頻度も高いため、試合前日や当日にシステム障害で配信できないとなると一大事です。チケット発売日にメール配信ができないと、機会損失も大きくなりますし。24時間365日大きなトラブルがなく、安定して利用できるシステムであることが大前提です。
Jリーグ 一柳:
他にも、「誰でも操作しやすいUI」「外部システムとの連携性」「問い合わせへのレスポンスが速いこと」などを重視しています。Synergy!は、UIがシンプルで初心者でも操作しやすく、外部連携をする際も開発不要なので、活用しやすいですね。加えて、問い合わせへのレスポンスが速いだけでなく、クラブそれぞれのアカウントに応じたオペレーションや運用を理解したうえで融通を利かせ、臨機応変に対応してくださるので、とても助かっています。
メールの送信件数や頻度、応募フォームへの入力者数は年々増加しており、先程お話ししたお客様のニーズをより深く把握するための新たな施策なども検討している状況なので、安定性が高く、サポートも充実しているSynergy!は、ゴール達成に向けた取り組みに欠かせないツールになっています。
―― Jリーグ様の理想を実現するためのお役に立てているとのこと、とてもうれしく思います。今後の展望についてもお聞かせいただけますか。
Jリーグ 野溝:
私たちは、「日本サッカーの水準向上」「豊かなスポーツ文化の振興」「国際社会における交流や親善への貢献」という3つの理念に沿って、各クラブの特色や方針を実現するための基盤を担っています。具体的には、大規模なプロモーション施策を通じてJリーグへの関心を向上させ、リピーターとなる来場者を増やしていくことで、クラブの経営面にも貢献していければと考えています。
ゴール達成に向けて、お客様とのコミュニケーションを工夫し、タッチポイントや接触頻度を増やしていくことは、顧客満足度の向上にもつながります。今後もお客様に選んでいただけるJリーグであるために、ツールを最大限活用しつつ、さまざまなデジタルマーケティング施策を実行していく予定です。あわせて、情報発信をする際のJリーグ全体としてのブランディングの構築にも着手し始めたので、そちらも推進していきます。
Jリーグ 一柳:
「デジタルマーケティングの施策を考案しても、それを実行するための人員が不足している」という、すぐに解決することが難しい課題を抱えているクラブもあります。Synergy!の提供だけでなく、業務効率化や施策面でも継続的な支援をお願いできるととてもうれしいです。

シナジーマーケティング 金子:
引き続き、Jリーグ様の理想実現に向けて包括的にご支援してまいりますので、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
(取材/編集:経営推進部 ブランドマネジメントチーム)