プロダクトオーナー自らがコンピューターに!?|徹底した現場目線から生まれた 生成AIライティングツール「Writing Assistant」

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市場の飽和やニーズの多様化、デジタル化が進む昨今、マーケターの業務範囲は拡大の一途をたどっています。SNS運用やコンテンツ作成、データ分析、広告運用などの膨大な業務に日々追われる状況が常態化しており、本来注力すべき戦略立案や顧客理解といった「考える」業務に十分な時間を割けていないのが現状です。このような背景から、課題解決策の一つとして生成AI技術の活用が注目されています。

シナジーマーケティング(以下、当社)は、2025年4月に、ターゲットに応じた訴求テーマの自動設定およびチャネルに最適なテキスト原稿を一括生成するAIライティングツール「Writing Assistant(ライティング アシスタント)」の提供を開始しました。どのようにして生成AI技術と創業以来25年にわたって培ってきたデジタルマーケティングの知見をプロダクトの企画・開発に反映したのか、プロダクトオーナーの豊田さん、CTOの馬場さん、エンジニアの東さんにお話を聞きました。

■Writing Assistantとは
製品パンフレットやサービスの紹介ページなどお手持ちの資料をインプットするだけで、ターゲット顧客に応じた訴求テーマの自動設定や、Web記事、メール、SNSなど複数チャネルに最適なテキスト原稿を一括生成するツール。当社独自のプロンプト設計により、ユーザーは生成AIの専門知識や複雑な入力設定なしに、ターゲットごとに最適化したテーマを自動提案。最速1分程度で各種テキストのドラフトを生成できるため、日々の業務に追われてコンテンツ企画・制作の時間が不足しがちなマーケティング担当者の負担を大幅に軽減できる。
https://www.synergy-marketing.co.jp/writing-assistant/

プロフィール

豊田 航輔 / プロダクトデザイン部 プロダクトマネジメントグループ
2021年新卒入社。入社以来営業担当を務め、2024年4月より新規プロダクト企画の担当となり、Writing Assistantを企画。現在はWriting Assistantをより多くの企業様に使ってもらえるように、プロダクトオーナーとして奮闘中。

馬場 彩子 / 取締役 兼 CTO
2001年に株式会社四次元データ(現 シナジーマーケティング株式会社)にローンチメンバーとして入社。Synergy!をはじめとするSaaSのローンチやML/AI研究など多岐にわたるプロジェクトに携わる。長年スタッフエンジニアとして活躍後、2020年にCTOに就任。インフラ・アプリケーションの大規模刷新プロジェクトと組織変革を主導。2023年より取締役兼CTO。

東 優 / プロダクト開発部 第6プロダクト開発グループ
2011年中途入社。iNSIGHTBOX、メール広告配信サービス、en-chantと主に「Synergy!」以外の開発に従事。現在は生成AIに興味津々。

※部署名・役職は取材当時(2025年4月)のものです

マーケターの業務負荷軽減と制作物のクオリティ担保の両立を目指す

―― Writing Assistantの企画がはじまった経緯を教えてください。

馬場:
当社の既存プロダクトでは完全にカバーしきれていないマーケティング業務の支援に向けて、新たなプロダクトを検討することになったのがはじまりです。プロダクトの方向性を定めるために、マーケティング現場の業務フローや課題を精査した結果、特にライティング業務に高い負荷がかかっている実態が明らかになりました。

豊田:
ライティング業務の負荷軽減を主軸に据えたプロダクトを開発すると決めた背景には、当社が提供しているマーケティングSaaS「Synergy!(シナジー)」および「Synergy!LEAD(シナジーリード)」を活用いただいているマーケティング担当者様から寄せられたご意見も大きく影響しています。

私は以前、Synergy!のセールスを担当していたのですが、お客様の多くは「ターゲット層ごとに適したコンテンツを配信すること(セグメント配信)で、ステークホルダーの行動変容を促進したい」と考え、当社のツールを導入されます。しかし実際には、配信コンテンツの準備に手間と時間がかかることから当初想定していた活用が難しくなり、結果として期待していた成果が十分に得られない、といったケースも多数見受けられました。

初期の調査結果をまとめたスライド

企画を立ち上げた当初は、新規プロダクトにアトリビューション分析機能※1 やCDP機能※2 の搭載なども検討したのですが、お客様からの声を一番に考え、「当社が今一番注力すべきなのは、既存プロダクトを利用いただいているお客様が抱えるコンテンツの企画・作成業務の課題を解決すること」との結論に達しました。このことから、「時間がないマーケティング担当者でも、意図した制作物をパパッと作れる」というコンセプトが生まれ、現在のシンプルなかたちに着地しました。企画が始まった当初から生成AI技術を活用すると決めていたわけではなく、議論を進めるなかで生成AI技術の活用が必要との判断になりました。

もちろん制作物のクオリティも重要なポイントになるため、当社が創業以来25年にわたってCRMシステムやデジタルマーケティング分野の支援を提供していくなかで得られた知見・ノウハウもプロダクトのなかに盛り込んでいます。将来的には、Synergy!本体のメール機能に、メールの開封率を高くするためのタイトルの付け方やコンテンツ内のCTAを高めるための工夫などの細かいライティング技術を盛り込むことも検討しています。


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※1 マーケティングや広告活動において、コンバージョンや売上などの成果がどの施策やチャネルによってもたらされたのかを分析するための機能。
※2 Customer Data Platformの略。企業が持つ顧客データを統合・整理して一元管理することで、マーケティングやビジネスの意思決定に活用できるようにするプラットフォーム機能。

【撮影場所:WeWork 麹町】

東:
Writing Assistantのコンテンツ作成フローを、まず最初にコンテンツのターゲット層やテーマを決め、その後コンテンツ(テキスト)として出力する2段階式にしたのも、制作物のクオリティを上げるためです。コンテンツマーケティングにおいて成果を最大化するためには、「誰に対して、どのような情報を、どのような行動変容を起こしてもらうために発信するのか」がとても重要なので。ライティング業務をアシストするプロダクトで、ここまでターゲット層やテーマなどの企画部分に着目しているものはあまりないように思います。当社らしい発想ですね。

実務への解像度の高さがプロダクトの質を大きく左右する

―― 現場の声や当社の知見が色濃く反映されているのですね。企画からプロダクトの提供開始まで約1年と短い開発期間でリリースしていますが、どのように進めたのでしょうか。

馬場:
2024年4月からの4か月間はプロダクトの方向性を探るために調査と検討を繰り返し、8月に方向性が決まりました。続いて、開発に必要な「コンテンツ作成のどの作業にどのような労力がかかっているのか」「生成AIを活用することで、一定のクオリティを保った状態で作業を効率化ができるか」などの項目の追加調査を行いました。その結果をもとに、プロダクトに必要な機能を絞り込んだうえで実装を進めました。アルファ版、ベータ版を経て、2025年4月に製品版の提供を開始した流れです。

プロジェクトの中核メンバーは豊田さん、東さん、私の3人で、毎日ミーティングをしながら密に連携して開発を進めていきました。必要に応じて、社内のデザイナーやエンジニアにも適宜協力してもらいました。

豊田:
今回の開発で特徴的な点を挙げるとすれば、企画段階から開発の終盤まで一貫してマーケティング担当者の方へのインタビュー調査に力を入れたことです。フェーズが進むごとに調査をしていたので、社内外を合わせて30〜40名程度の方にインタビューを行いました。インタビュー調査に力を入れた理由は、2つあります。1つ目は、マーケティングの課題を解決するためには、マーケティング業務およびその周辺業務を担当している現場の生の声が重要になること。2つ目は、僕自身がマーケティング領域の実務を経験したことがなく、知識も十分ではなかったため、理解を深める必要があったからです。インタビューした内容としては、プロダクトの方向性が固まる前は、実務内容や業務ごとの負担感、業務で使用されているサポート系ツールとツールごとのメリット・デメリットなどです。方向性が固まったあとは、業務支援をするために必要な機能や画面の操作性などについてヒアリングしました。

調査結果をもとに、マーケティング現場の状況を想像しながら「プロダクトの理想像」について考えを巡らせていたのですが、「僕が考える理想像と現場で実際にツールを使う人が考える理想像は、はたして同じだろうか」という疑問に行き当たりまして……。想像はどこまでいっても想像でしかないので、思い切って実際のマーケティングの業務をやってみることにしました。

東:
豊田コンピューターですね。

―― 実際に現場に入って実務を担当してみるプロダクトオーナーはなかなかいないですよね。豊田コンピューターというのは……?

豊田:
当社のマーケティング業務を担当している部署にスポットで参加し、僕がコンピューターの代わりに依頼されたタスクをこなしていく、というものです(笑)。一例ですが、金融ソリューション事業部のオウンドメディア「金融マーケナビ」向けの「金融機関が取引先に提供した、デジタル人材育成研修の紹介記事」「口座開設やローン申請時に必要なJPKI(本人認証)の仕組みを徹底解説した記事」を手掛けました。マーケティング担当者から、「これらの記事があれば販促に役立つことは間違いないのでいつか作りたいと考えているが、リソース不足で手がつけられていない……」とのお悩みを聞き、僕の方で作成しました。

馬場:
豊田さん自身がWriting Assistantという。

豊田:
僕がUI(ユーザーインターフェース)だ!という状態で(笑)。チームメンバーからの依頼を受けるかたちで実際に記事を作成することで、ライティング業務に必要なスキルやノウハウ、執筆時に収集すべき情報などを研究しました。並行して、「僕をコンピューターだと思って、作成したいコンテンツの情報をGoogle スプレッドシートに記載して指示を出してください」との依頼をして、シート上に限定したコミュニケーションでコンテンツの作成を進める、といったことも試みました。人間同士が口頭でコミュニケーションを取る場合、言語化できていないふわっとした内容もニュアンスで補足できますが、コンピューター相手ではそれができません。この実験によって、コンテンツを作成する際にどの要素がどこまで明確に言語化できていれば良いのかの基準を把握することができました。

実務を担当し、都度メンバーからフィードバックをもらうことで、想像だけでは描くことが難しかったプロダクトの理想像の解像度が飛躍的に上がりました。言葉にすると一見当たり前のことのように思えますが、「実務を深く知ることが、ユーザーにとって価値のあるプロダクトづくりにつながる」という感覚が実感として強くあります。

東:
今回の豊田さんの試みは、開発者の姿勢として本質的にすごく正しいんですよね。現場に入っていくことで、プロダクトのユーザーとなる人々のリアルな痛みや課題感を自分事として捉えることができます。

豊田:
調査や実務体験から、「ターゲット層に対して、どのようなテーマのコンテンツを作成すべきか」「テーマに沿って、どのような構成・内容で記事を出力すべきか」の検討に労力がかかっていることが明白になり、課題解決に必要な機能の精査に大いに役立ちました。リード獲得やナーチャリングを進めるうえで、コンテンツはあればあるほどプラスになることは皆さんわかってはいるのですが、いざテーマを決めて一から執筆するとなるとかかる労力と時間を想像して、ついつい腰が重くなってしまうジレンマがあったり……。

馬場:
コンテンツ作成と一口に言っても、テーマを決めるためのターゲット層への深い理解やSEOライティング、インタビュー取材などのスキルも必要になります。お客様対応や広告出稿などの優先度の高い業務に追われているなかでコンテンツを一から考えて執筆するとなると、それなりのエネルギーと時間がないと厳しい。着手には、高い心理的・物理的ハードルがあります。

そこで、私たちはこのボトルネックになっているコンテンツテーマと記載内容の検討フェーズを支援することで、着手のハードルを下げられないかと考えました。コンテンツの企画案や記事の構成案があるだけでも作成時間と労力を削減できますし、SEOライティングの補助機能があれば、スキルのないメンバーでもコンテンツが作成できます。「コンテンツ作成に着手する敷居を限りなく低くする」という発想で、機能やUI/UXの検討を進めました。

ビジネスサイドも開発業務を担当|AI技術の登場で変化するプロダクト開発の現場

―― 「Writing Assistantの画面に表示される発信媒体やコンテンツ企画案などの選択肢を選んでいくだけで、簡単かつ手軽にコンテンツが作成できる」という仕様の裏側には、そのようなエピソードがあったんですね。

豊田:
社内外の方にアルファ版、ベータ版を試してもらったなかで得られたフィードバックも反映しています。一例ですが、アルファ版、ベータ版では、ユーザー側で手入力をしないといけない項目がいくつかあったのですが、「なにを入力していいのかわからない。使いにくい」といった意見が多かったんです。そこで、東さんやほかのエンジニアの方とも相談しながら、誰でも簡単にパパッとコンテンツを作成できるように極限まで手入力を減らしたシンプルなUI/UXにしました。

また、製品紹介や会社紹介などの資料をアップするだけで、Writing Assistantがコンテンツを生成する機能も実装しました。製品や会社を訴求するコンテンツの配信は需要が高い一方で、資料を読み込んだり要点を抽出する作業に手間がかかります。その労力を軽減できればと考えました。

自動生成するにあたって、生成AIにありがちな「プロンプトで記事の文字数を指定したのに、出力してみたら文字数が足りていなかった」「出力された文章にねじれが発生している」といった入力した情報からの逸脱を防ぐための工夫もしています。工夫の甲斐あって、製品版を導入いただいたお客様からも大変好評をいただいています。

■Writing Assistantを利用されているお客様の感想(一部)

  • 提案資料をWriting Assistantに入れるだけでメルマガが完成するため、文章を考える業務負担が半減しました。私たちが入力した情報や資料はAIの学習には使用されないので、ほかの生成AIツールで課題になりがちな情報漏洩の心配もなく、安心して業務に使用しています。(食品製造業様)
  • ランディングページやメルマガコンテンツの作成作業を効率化できればと思い、トライアルを利用しています。Writing Assistantの使い方について質問や相談をした際も素早く回答いただけるので、安心感があります。まだ使い始めたばかりですが、気軽に使いやすいサービスなので期待しています。(精密機器メーカー様)

東:
裏側のプロンプトにもかなり工夫を重ねています。この部分は、豊田さんががんばってくれました。

豊田:
プロンプトを担当した当初は、本当に大変でした(笑)。このプロジェクトに参画するまでは生成AIに深く触れたことがなく、エンジニアリングのエの字もない人生だったので……。なにから手をつけていいのかわからない状態だったのですが、東さんや馬場さんに助言をもらいながらとにかく手を動かし続けました。プロンプトに触れている時間や量が増えるごとに理解が進んでいき、最終的にはプロンプトの良し悪しを判断したり、自分がイメージしているものをおおよそ出力できるようになりました。

東:
私の方ではあえてプロンプトをあまり触らないようにしていたのですが、これには2つ理由があります。1つ目は、エンジニアが担当すると、どうしてもプロダクトの理想像よりも実現可能性の高い設計を優先して、機能をシンプルにする方向に持っていってしまうこと。2つ目は、コンセプトを固めてプロダクトに落とし込む人物が担当しないと、コンセプトとできあがったプロダクトが乖離したり、ユーザーへの価値提供の方向性がブレてしまう危険性があるからです。実際に、当社の生成AIを活用したプロダクト「DAYS GRAPHY(デイズグラフィ)」でも、プロンプト部分はプロダクトオーナーの阪口さんが開発初期の段階からリリース後の現在にいたるまでメインで担当しています。

―― 従来のプロダクト開発では、エンジニアやデザイナーが技術やデザイン領域を担当し、ビジネスサイドが企画立案やマネタイズ戦略、販促活動などを担う、といった役割分担が一般的でした。この変化は、生成AI技術の特性によるものでしょうか。

東:
その要素が大きいと考えています。生成AI技術は急速に発展している最中であることと、生成AIによる出力結果はユーザーからの入力に依存する関係上、常に不確定要素が含まれることから、生成AI技術を活用したプロダクト開発では、常に試行錯誤しながらプロンプトを調整する必要があります。くわえて、「プロダクトを通じた顧客への価値提供」という視点も重要になるため、生成AIで出力された結果がプロダクトとして「正解」であるかどうかを判断する必要があります。これらのことから、生成AIの特性とマネタイズ面、顧客ニーズを深く理解したうえで、プロダクトの方向性や市場へのアプローチを決めるプロダクトオーナーの存在が肝になります。

馬場:
今後は、生成AI技術ありきの開発が急速に広まっていくと予測されるので、プロダクト開発の現場も大きく変わっていくと考えています。DAYS GRAPHYに続いてWriting Assistantの提供を開始したことで、当社としての生成AI技術を用いた開発の経験値が順調に積み上がってきていると感じています。AI技術は未知かつチャレンジングな領域ではありますが、そこに長年培ってきたマーケティングの知見・ノウハウを組み合わせることで、時流に沿った、お客様にとって価値のあるプロダクトを市場に提供し続けていきたいですね。

生成AI技術と創業25年の知見・ノウハウを掛け合わせ、マーケティング現場の進化を支える

―― Writing Assistantは、マーケティング現場にどのようなプラスの影響をもたらすと考えていますか。

豊田:
Writing Assistantがマーケティングチームに欠かせないアシスタントになる、つまり「人ではなく、ツールがアシスタントの役割を果たす」ことで、企業やチームの規模に囚われず、今よりも低コストかつ短期間でマーケティング施策の成果最大化が実現できると考えています。

具体的には、Writing Assistantにコンテンツの作成を任せることで、今よりも少ない時間・労力でコンテンツを量産できるようになり、リード獲得やナーチャリングが加速します。同時に、空いた時間で、効果最大化の要である戦略策定や企画立案といった上流工程により注力できるようになります。体制構築の観点でも、人間のアシスタントを雇うとなると人件費や教育コストが大きな負担になりますが、ツールの導入であれば月額数万円程度と比較的少ない負担ですみます。

馬場:
「単なるツールではなく、人間のメンバーのように企業様や部署の状況に寄り添い、適切なご支援ができるプロダクトでありたい」という想いを込めて、プロダクトの名称に「アシスタント」とつけています。

――  Writing Assistantはコンテンツ作成の負担を軽減する機能にフォーカスしてアシストしていますが、今後はより広い領域の支援も検討していると伺いました。Writing Assistantをはじめとする今後の開発方針についてもお聞かせください。

馬場:
今後数年の展望として、Writing Assistant含む当社のプロダクト群を、コンテンツの作成から配信、ターゲット層の反応分析、施策の改善まで、「マーケティング施策全体をシームレスにつなぐプラットフォーム」として成長させたいと考えています。具体的には、プロダクト間のデータ共有は自動で行われることを前提として、DAYS GRAPHYで深めた顧客理解に基づいてWriting Assistantでコンテンツを執筆。作成したコンテンツをSynergy!やSynergy!LEADでセグメントごとにメール配信してその効果を分析し、施策の改善につなげていくイメージです。

世の中には数多くの業務支援ツールが存在していますが、業務に応じて複数を使い分けたり、場合によっては手作業でツール間のデータ移行を行う必要があるなど、使い勝手が良いとはいえない状況です。本質的なマーケティング活動に専念するために存在する支援ツールが、逆に人間の時間を奪うかたちになってしまっています。これらの課題解決に向けて、今後も、Writing AssistantをはじめとするAI技術を活用したシームレスかつ直感的なインターフェースによって、企業とステークホルダー間のコミュニケーションをよりスムーズにするプロダクトを提供していきます。

東:
現在の生成AI技術ではまだ実現が難しい部分があったり、生成AI技術に対する私たちの理解が足りていない部分もあるので、まずは地道に開発の経験値を増やしていきたいですね。生成AI技術を活用して時流に沿ったプロダクトを生み出すためには、技術の進化に遅れずについていくだけでなく、技術が進化する先を見据え、「どのようなプロダクトを作っていくべきか」のアイデアを広げておくことが重要です。

Writing Assistantの開発では生成AI技術の進化スピードにあわせて、通常の開発期間よりも短いスパンでアルファ版、ベータ版、製品版をリリースしました。なかなかにハードな体験でしたが、生成AI技術の進化スピードは今後さらに加速していくと予測されるので、エンジニアとしてこの環境に適応していく必要があります。私たちが実現したいアイデアに技術が追いついたタイミングですぐに開発に取り掛かれる状態を整えておかなければ、時流に沿ったプロダクトを作ることは難しくなります。

馬場:
今後はそのような開発環境が当たり前になるでしょうね。生成AI技術を活用した開発はまさにゼロイチの世界なので、正解がない状態でも常にスピード感を持ってどのようなプロダクトを作るべきかを考え、模索していくしかない。

豊田:
まったく指針がない状態だからこそ、本質的なマーケティングの課題や世の中で求められる新しいプロダクトとはどういったものなのか、常日頃からアンテナの感度をよくして情報収集や現状把握をしておくことが大切ですね。

東:
最近では「従来の手入力ではなく音声入力によって操作できるツールが欲しい」といった声もよく聞かれますよね。

馬場:
ありますよね。ここ数年で、世の中でスタンダードとされている手法や価値観の移り変わりがかつてないほど速まっていると感じています。先日、まさにそれを実感する体験をしました。当社にお問い合わせをされたお客様がいらっしゃったのですが、きっかけはAIのDeep Researchで得た情報だったそうです。この出来事は、「消費者の情報収集スタイルが大きく変化しつつある過渡期」に私たちがいることを象徴しているように思います。AIによる情報検索が普及すると、従来のSEOの効果は薄れていき、「AIが理解しやすい形式で情報提供をすること」が新たなスタンダード、つまり「新たな当たり前の手法」として台頭するようになります。

ここからさらにAIが進化することで、人間とデジタルの境界はますますあいまいになっていくと考えています。現時点では、AIに入力したり話しかける際に心理的な抵抗を感じる人も少なくありませんが、AIが日常生活に溶け込むにつれて、人間に話しかけるのと同じような自然な感覚でAIと対話し、疑問や課題を解決する社会へとシフトしていくと予測されます。

このような時代だからこそ、めまぐるしく変化していく顧客のニーズや社会の動きを的確に捉えたプロダクトを開発し、企業と消費者の双方が心地よいと感じられるマーケティングコミュニケーションを創造したい。当社はAI技術の活用をはじめとするさまざまな取り組みを通じて、時代に適した「新しい当たり前」を社会に提案できる企業でありたいと考えています。創業以来変わらず果たしてきた「企業にとってのマーケティングコンシェルジュ」としての役割を今後も果たしていくことで、企業と消費者のコミュニケーションをより自然かつ効果的なものへと革新することを目指しています。これからも、顧客価値の最大化を通じて企業様の成長を支援し、変化の激しい時代においても「頼れるパートナー」として、ステークホルダーの皆さまに貢献してまいります。

(取材/編集:経営推進部 ブランドマネジメントチーム)

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