CRMの肝となる“顧客理解”にChatGPTを活用!エクサウィザーズ・QUINTBRIDGE(NTT西日本)との共創セミナーレポート

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シナジーマーケティングは2023年9月、ビジネスシーンでも大きな話題になっているChatGPTを代表とする生成系AIのマーケティングリサーチへの活用をテーマに、株式会社エクサウィザーズとQUINTBRIDGE(西日本電信電話株式会社)との共創セミナーを大阪市内で開催しました。

【会員共催】マーケティングの意思決定を変える!消費者インサイト理解のためのChatGPT活用法! | QUINTBRIDGE

エクサウィザーズからは、シリコンバレーの黎明期からテック業界の取材を続けながら、オウンドメディア・AI新聞の編集長も勤めるジャーナリストの湯川鶴章さん、そして、イノベーション&デザイン領域の博士で大阪教育大学の特任准教授として勤めながら、新商品サービス/新規事業開発・AI開発などのプロジェクトをリードするAIコンサルタントの安松健さんが講演。

当社シナジーマーケティングからは、2008年に入社して以来、クライアントに寄り添う営業として30業種/100件以上のCRMの企画立案や導入支援に携わってきた、サービスデザイングループ マネージャーの阪口奨さんが講演しました。

セミナーでは3人の講演を通して、ChatGPTの最新動向の理解(知識)と、生成系AIの技術と従来の知見をかけあわせて顧客インサイトを生成する方法(スキル)を紹介。会場となったNTT西日本が運営する大阪・京橋駅にあるオープンイノベーション施設 QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)には、「共創」というキーワードで、業種も職種もさまざまな人たちが集いました。

この記事ではオープンな雰囲気の中で行われた熱気が溢れるセミナーの模様を、ブランドマネジメントチームの森内がレポートします。

『社会課題の解決』と『未来社会の創造』をめざすオープンイノベーション施設

まず最初に、NTT西日本 オープンイノベーションデザイナーの下川さんに2022年3月にオープンしたQUINTBRIDGEの紹介をしていただきました。QUINTBRIDGEは、企業・スタートアップ・自治体・大学などが自由に交流し、それぞれの思いやアセットを共有しながら共創を進め、実社会での活用をめざしており、会員とともに社会課題の解決と未来社会の創造を成し遂げ、ウェルビーイングが実感できる社会を実現することを目的としている施設です。イベントは、QUINTBRIDGE 1Fの200人ほど収容できるワンフロアの大空間で実施しました。

シナジーマーケティングは、展示会やセミナーなどさまざまな会場で、お客さんとの接点を作るためのプレゼンテーションを行っていますが、ゼロイチの新規事業開発のためには、このようなオープンな場所での提案やたくさんの人たちとの意見交換をする機会をもっと増やしてアイデアやサービスを磨いていかなければと感じました。

ChatGPTに聞いても教えてもらえない?AI最新動向と未来予測

20年以上にわたってテクノロジーとイノベーションを追いかけながら未来予測を発表している湯川さんによる最初の講演では、2023年に突如ブレイクしたかのように見える生成系AIのここまでの進化の推移を、非エンジニアであるマーケターにもわかりやすく解説いただきました。

また最新動向として、これから2〜3ヶ月のうちにマーケティング業界を含む各分野で起こる変化や、人に寄り添うエージェント型AIへの移行など、湯川さん独自の洞察を伺うことができました。

筆者は、2011年に湯川さん主催の半年間の勉強会に参加したご縁があり、この日は久しぶりの対面。講演の最後では「これからはAIの助けを得て、みんなで楽しくなれる時代」という湯川さんらしい言葉を聞き、当社のビジョン「人と企業が、惹かれ合う世の中へ。」との重なり合いに嬉しくなりました。

ChatGPTに聞く前に押さえておきたいマーケティングリサーチの本質

ChatGPTに消費者インサイトを聞いてもありきたりな情報しか得られない問題。

「これはChatGPTを使った場合に限りません。従来の顧客調査においても、マーケティングリサーチの定石を踏まえず調査しなければ、同じようにありきたりな結果しか出ないでしょう」と数々のリサーチプロジェクトを経験してきた安松さんは指摘しています。

その上でこの講演では、ChatGPTを使ったマーケティングリサーチにおいても有用な「顧客の声を聞いてはいけない」「行動の原理となる心理を追い求めない」「状況の中の活動・体験の全体を理解する」の3つに分けてマーケティングリサーチの定石・知識を説明していただきました。

筆者は、安松さんによる認知科学や心理学などの文献と先行事例を交えたわかりやすい解説を聞くことで、近年は一般企業にも定着した「人間中心主義」「デザイン思考」の理解をアップデートすることができました。また、現行のマーケティング活動にはいかにマーケターの思い込みによる間違いや無駄が潜んでいるかということも認識できました。

講演内容と関連した安松さん執筆の note記事「AIと認知科学と哲学 ヒトを深く理解することとAIデザインが渾然一体な理由」もぜひご覧ください。

CRM営業の知見と勘所を頼りにChatGPTと向き合い続けた半年の成果

17年の営業キャリアを経て、2021年よりCRMに関する新サービス開発に従事する阪口さんが話した内容はまさに「マーケティングリサーチのためのChatGPT攻略レポート」。まだ完璧な攻略法が見つかったわけではありませんが、現時点での研究成果をオープンにシェアすることに価値があると判断してこのセミナーをエクサウィザーズさんと企画しました。

まず阪口さんはテクノロジーやツールの変遷を交えながら、マーケティングの肝である「顧客理解」は、常に重要課題と認識されながらも実施難易度が高いために多くの企業では実践できていないことを話し、その現状を変えるためにChatGPTを使った顧客インサイトの理解に取り組んでいることを説明しました。

次に、お作法通りのプロンプトによるChatGPTの中庸なアウトプットを突破するための3つのポイントと、7つのステップに分けたChatGPTとの対話で顧客サイトを導き出した方法を解説しました。

阪神タイガースのアレと重なったにも関わらず多くの方が参加
「ChatGPTの突破は対話がカギとなります」
「ChatGPTには顧客の日常を知るための言葉を紡いでもらいます」
「立体感を持って顧客インサイトを理解することで、するべきアクションが想像しやすくなります」
作業や打ち合わせをしていた人たちも阪口さんのプレゼンに耳を傾けていました

この度の研究ではビジネス雑誌を発行している企業にモニターパートナーとしてご協力いただきました。担当者の方からのインプットをもとにChatGPTとの対話を重ね、マーケティングリサーチの定石を押さえながらChatGPTのアウトプットだけで顧客インサイト一式を作成。別途実施した従来のUXリサーチ(ユーザーインタビュー)結果とChatGPTのアウトプットを照らし合わせることで、その精度や有用性を確認しました。

「ビジネス雑誌の読者理解」をケーススタディーに取り組んだ、具体的なChatGPTプロンプトや対話の組み立て、そのアウトプットなどは、阪口さんが執筆するnote記事で公開される予定ですので、ぜひフォローをお願いします!

実は、同僚である筆者も阪口さんがこの半年間研究していたことを詳しく聞くのはこれが初めての機会でした。

新卒で入社したときから知っているつもりだった営業一筋の阪口さん。多くの企業が持つ「顧客理解」へのハードルの高さを解決するために、社内で挙手してチームを作ってChatGPTと向かい合い、モニターパートナー企業やエクサウィザーズさんを巻き込んだ中間成果発表とも言えるこのプレゼンテーションでは、参加いただいた方々の興味や反応からも、十分な期待と可能性を感じることができました。

前日に社内で話しかけたときには(参加申し込みが予想を遥かに超える人数で)『まずいことになりました!』と緊張していた阪口さんですが、QUINTBRIDGEに集まった企業のマーケティング担当者にポジティブな提案を行う姿はとても頼もしく見えました。

共創をベースに顧客理解を助ける手法を追求する

最後に阪口さんから参加者の方々へ、AIを使ったプロダクト開発を行うパートナー募集の呼びかけを行いました。

パートナー・モニター企業の募集/お問い合わせ

革新的技術を社会実装させるためにはトライアンドエラーが必要です。AIを活用した顧客理解の精度をさらに向上させるには、異なった市場・業種の生きたプロダクトやブランドを使ってトレーニングとチューニングを重ねる必要があります。

営業時代の「SaaSベンダーとそのお客様」という関係から飛び出して、課題を共有するパートナーを募って共創する試み。この積み重ねがまさにミッション「Create Synergy with FAN」を体現した新しいサービスへつながると信じています。

あとがき

出典:ガートナー リサーチメソドロジ HYPE CYCLE™22 Sep 2023
https://www.gartner.co.jp/ja/research/methodologies/gartner-hype-cycle

8月に公表された Gartner®、「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2023年」において、生成AIは「過度な期待のピーク期」に置かれています。あたりまえの道具として社会実装を果たすにはもう暫く時間がかかるかもしれませんが、当社でもその可能性を測るために日々研究を続けています。

一方で、当社がデジタルマーケティングの肝であると考える「顧客理解」も、すぐに成果や費用対効果が出るものではなく、使いこなすためのリテラシーの向上や企業文化の醸成までが必要とされる、根気を要する取り組みです。

近い未来にAIの助けを借りて精度の高い「顧客理解」や「施策」が短期間で得られたとしても、その解釈やそれをもとにした施策を選択するのは私たちマーケティングに関わる人間です。

シナジーマーケティングは、顧客とのよりよい関係づくりに真摯に取り組むマーケティング活動を、より楽しく、より価値のある仕事にする会社です。お客様はもちろん、共感していただけるパートナーのみなさまと共創ができることを楽しみにしております。

(取材・記事/経営推進部ブランドマネジメントチーム 森内)

[出典&免責]
Gartner®, プレスリリース, 2023年8月17日,  “Gartner、「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2023年」を発表”
https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20230817
Gartnerは、Gartnerリサーチの発行物に掲載された特定のベンダー、製品またはサービスを推奨するものではありません。
また、最高のレーティング又はその他の評価を得たベンダーのみを選択するようにテクノロジーユーザーに助言するものではありません。
Gartner・リサーチの発行物は、Gartner・リサーチの見解を表したものであり、事実を表現したものではありません。
Gartnerは、明示または黙示を問わず、本リサーチの商品性や特定目的への適合性を含め、一切の責任を負うものではありません。
GARTNERおよびHYPE CYCLEは、Gartner Inc.または関連会社の米国およびその他の国における登録商標およびサービスマークであり、同社の許可に基づいて使用しています。
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