人と組織のシナジーから始まる。パートナー AKINDと思索するカルチャーマネジメントがもたらす飛躍へのストーリー

Culture

役員たちの決断によって刷新されたビジョン・ミッションと、「カルチャー7」と名付けられたマネージャーたちによってリニューアルされた行動基準(A Sense of Values)を元に新たなスタートを切ったシナジーマーケティング。これらのカルチャーをもとに会社の運営や現場の意識はどのように変わったのか。今後の成長の種はどこにあるのか。どのように新たな仲間を求めていくべきなのか。

前編に引き続き、副社長の奥平が聞き手となりパートナーである株式会社AKINDの岩野様に、カルチャーマネジメントとこれからのシナジーマーケティングについて語っていただきました。

(取材・編集/シナジーマーケティング ブランドマネジメントチーム)

プロフィール

岩野 翼 / 株式会社AKIND(あかいんど) 代表取締役CEO

英国のBrunel University ブランディング&デザイン戦略修士課程修了。ブランド・コンサルティング会社 CIA Inc.に参画し、日本発LCCのPeachのブランド立ち上げなどを手掛ける。2014年にブランド・マネジメントに特化した株式会社AKINDを神戸にて創業。ブランディング手法をベースに、対話型組織開発やサービスデザインのアプローチを組み合わせ、変化に強いブランドの共創を実践している。

奥平 博史 / シナジーマーケティング株式会社 取締役副社長

兵庫県出身。経営学修士(MBA)。大手建築会社、通信系営業会社を経て2009年にシナジーマーケティング入社。クライアント企業へのCRM導入ディレクターからマネジメントを経て、2017年に取締役副社長に就任。各事業部に加え、経営・人事・財務など全社のDXを推進すると共に組織やカルチャーづくりなど、D&Iの実現に向けた組織作りに邁進中。

A Sense of Values を共通言語に意識改革

2022年に作成したASoVsガイダンス

奥平:
2022年にはAKINDさんのサポートを受けて「ASoVsガイダンス」を作成しました。社員ひとりひとりが当社の行動基準であるA Sense of Values(以下 ASoVs)を体現するためにどのような行動をすればいいのか、平易な言葉で解像度を高めたツールです。これが非常にわかりやすくて、当社の「仕事のやり方」について少しずつマネジメント層と現場の間の共通理解が進んできています。

岩野:
「カルチャー7」とのワークショップの中で「ASoVsは、毎日飲むコーヒーのように当たり前のようにそこにあって親しまれるものにしたい」というマネージャーの意見がありました。Challenge に「まずは踏み出そう」という言葉を使ったのは、使い勝手の良い、使いこなせるものにしたいという思いがあったからです。

マネージャーたちによって紡がれたASoVsの言葉を、これから先は経営者が組織の言葉として語ってあげる。仕事を認めたり、次の可能性を見つけたり、そういう時に伝える手段としてASoVsを活用できるとよいのではないでしょうか。

奥平:
人事評価とは異なりますよね。私たちはASoVsをあくまでカルチャーとして、活用していこうと思っています。

岩野:
もちろんです。ASoVsの中の Growth の意味を考えるとき「グロース(成長)って会社から押しつけられるモノではないではない」という意見がありました。実はこれがASoVsの根幹です。

「業務」「成果」「技能」はある程度ドライに評価すればよいのですが、ASoVsはそういうものではありません。シナジーマーケティングというコミュニティが大切にしたい、シナジーマーケティングならではの共通言語、もしくは DNA がASoVsなんです。

社員のみなさんがワクワク感を持って日々の業務に取り組むことが業務をより高みに上げていく。事業を生むためのエンジンとしてASoVsを使いこなすことができれば、シナジーマーケティングというコミュニティは、さらに成長できると思います。

奥平:
当社では創業者の谷井の時代から「A Sense of Values 研修」という、代表と社員が少人数で語り合う機会を1年に1回設けていました。コロナ禍で集まれなくなったことを理由にしばらく中断していたのですが、ASoVsのアップデートを機に、代表がどう考えているか、社員がどう考えているか、そこを埋めていく取り組みとして昨年より再開させました。代表の田代が一方的に話すのではなく、インタラクティブな対話を中心にAKINDさんと一緒に再設計しました。

岩野:
御社はASoVsの7つのうち、Hospitality、Trust、Communication など守りのカルチャーは強い反面、攻めのカルチャーはまだまだ伸ばす余地があると「カルチャー7」のマネージャーも感じていました。その先のリーダーやメンバーにどう意識付けしてアクションに変えるかが、カルチャーマネジメントの次なるチャレンジですね。

奥平:
チャレンジといえば、AKINDさんのファシリテーションのもと「カルチャー7」が提案した施策群のひとつ「キャリアプラス制度」が部署間を超えた良い連携を生み始めています。

当社では責任範囲を明確にするため複数部署の兼任をしない原則なのですが、そのデメリットとして新たなキャリアを積む機会がなかなか持てないと言う課題がありました。キャリアプラス制度では、各部署から公募があった業務に、失敗は許容するからどんどんやってみようというスタンスで、有期限で全く違う業務にチャレンジすることができる制度です。発表当初は反応が鈍かったのですが、最近ではやってみようという人が増えています。

岩野:
効率重視になると専門化を図る方がいいですが、一人一人の成長や可能性を考えると横の連携を奨励する取り組みは必要ですね。

奥平:
カルチャーの醸成には時間がかかることを踏まえて、じっくりやっていこうとしたことの結果と成果が少しずつ出始めています。

岩野:
組織は部門や効率、仕組みの中で分割されがちですが、カルチャーは仕事のやり方の羅針盤であり、潤滑油みたいなものでもあります。カルチャーが当たり前になればより潤滑油としてあらゆる業務に効かせることができるでしょう。

これからも市場の変化に合わせて組織や事業の形態は柔軟に変わり続けていくでしょう。固まっているモノを分解したり、混ぜ返したりしないといけない時代にあって、潤滑油となる企業文化があることは強みだと思います。

2023年に開始した実証実験事業 FAVTOWNでは、キャリアプラス制度を利用して普段はクライアントワークに携わる2年目・3年目の社員がSNSマーケティングを担当

小さなシナジー(相乗効果)が大きな成長の種に

奥平:
年初に当社のコーポレートブランディングを整理したのですが、大切なのはインナーコミュニケーション、アウターコミュニケーションのサイクルを循環させることだと気がつきました。お客様への+1点の価値を生み出すことは、それを発信する機会を設けることで社員のモチベーションアップにもつながる。実際、自分の仕事がオウンドメディアで取材された社員から「記事を読んだ親からいい仕事をしていると喜んでもらえて、仕事に対する自信が深まった」という声も聞かれました。

岩野:
コミュニケーションだけではなく、カルチャーが具体的に事業を生んでいく、回していくフェーズに、御社がいよいよ入ってきたのだと思います。

奥平:
当社の存在価値をさまざまな観点でマーケットに発信することによって、新たな経営資源が獲得できたり、新しいアライアンスが組めたり、今までにないタイプの求職者と出会えたりなどの、好循環につながることもわかりました。

そこで今年から全社横断の部門として、コーポレートクリエイティブチームを新設しました。コーポレートの顔となる部分をアウトプットするときに一貫性は必要ですから。ASoVsを手のひらサイズにまとめて全社員に配布したクレドブックや、働き方のコンセプト「CREATE NEW CONNECTIONS」はこのチームによる仕事です。

クリエイティブチームが制作したASoVsクレドブック

岩野:
社外に発信する情報、社内コミュニケーションで使われる言葉、経営者が語るメッセージ、業務で議論されるアイデアなどが、ひとつの文脈、ひとつのつながったストーリーとして展開できるようになれば自ずと「Create Synergy with FAN」を生み出す期待の種がどんどん増えていくでしょう。それこそが御社ならではの「+1点の価値」としてお客様に提案できるものではないでしょうか。

奥平:
役員間では年末の全社集会「Synergy! UNITE」に向けて、次の3年の事業成長と個人のチャレンジをどうつなげるかについて議論を重ねてきました。社員ひとりひとりが会社の言っていることを理解するだけではなく、既存の事業も新規の事業も何かしら種があり、自分がやっている事業が会社の未来につながっている、と自分ごと化ができるようなストーリー作りに取り組みたいと考えています。

岩野:
大切ですね。社員ひとりひとりの働きかけによってシナジー(相乗効果)が生まれているというストーリーを社内で共有し、社外にも発信する。小さなシナジーが生まれているかどうかを経営やマネージャーやリーダーがつぶさに見つけて認める。ボトムアップからのチャレンジをピックアップするようなコミュニケーションを作れたらいいですね。

奥平:
部署やチームの役割を越えた発言や提案をしやすい環境づくりが、小さな種をたくさん生み出すことにもつながりますね。

岩野:
うまくシナジーを見つけた人や良いパスを回してくれた人にスポットをあてる。そしてマネージャーやリーダーにそのようなシナジーを生み出していくのも自分の仕事だという認識を持ってももらうことができると、御社のさらなる強みになると思います。

奥平:
異なるプロジェクトや部署間でシナジーを起こす。それをどんなことでもいいから可視化することですね。

岩野:
ASoVsにはシナジーを起こすために大切なモノがすべて入っています。シナジーが回りだすと、「日々のワクワク」につながるお客様の成果や仲間の成長を喜べることにつながる。小さなシナジーを起こしてそれが大きなシナジーにつながっていけばいい。自分の仕事をどうすればいいのか、あの人がやっている仕事に自分がどう関わればシナジーが生まれるのか、全員がいつもそう考えられる思考を育てることなんですよ。

奥平:
「やりたいけど、それは自分の部署の役割や期待されていることでではないからできない」というような台詞を現場で聞くことがありました。

岩野:
もったいないですよね。シナジーマーケティングとして仕事の成果を何と設定しますか?その答えはお客様への+1点につながるシナジーを起こすことですよね。この受注を受けました、やりました、だけではなく。

奥平:
一歩先の取り組みがチャレンジやイノベーションにつながることを理解し、自分や仲間がやっていることを共有する、それをみんなが認めて一緒に喜ぶサイクルを続けながら新しいビジネスの種を見つける。

岩野:
そうです。長年にわたって人とシステムでお客様のCRMをサポートし続けてきた御社独自の強みにレバレッジを利かせられるか。それを仕事の成果レベルとしてかみ砕いてあげる必要があります。部署や役職を越えた横のつながりでシナジーを起こす。そうしてボトムアップが図れれば、さらにパワーが出てくると思います。

奥平:
年末の全社集会「Synergy! UNITE」で発表した中長期の事業戦略では、既存事業の再成長および再構築領域と、新規開発領域、それぞれにわかりやすく数字を置きました。さらに新規事業も含めたすべての事業それぞれがビジネスとして自立することも目標に掲げました。

岩野:
自立して成長すると言ってもひとり、またはその部署だけで頑張れではなく、各部署、各事業がwin-winの状態を少しずつ高めていくことですからね。新規事業は新規事業、主力事業は主力事業と、分断するのではなく、お互いのシナジーがうまれていけば、勝ちパターンにつながるし、次のステージに行ける。もし、その連携が自分たちのチームのキャパシティーや専門性を超えたとしても、社内にいるその業務のプロフェッショナルに委ねられる組織の力が御社にはありますから。

いかようにも変えられる環境を楽しんで「いい会社」を作る

奥平:
2023年は次なる3年に向けてステージをひとつあげていこうと考えています。先ほど自立して成長する、と言いましたが、社員全員がオーナーシップをもって思考できるようにして決断経験を増やす。権限を持っている人だけが決めるのではなく、まずは自分で意思決定をして動かしてみる。これが行動として表れてくることが理想です。

岩野:
オーナーシップやチャレンジはすごく大切なことですが、自分で自分を燃やせる人ばかりではないですよね。そういう人はやるぞと燃えている身近な人を見つけてサポートする。サポートした人が成功すると、それは自分の成功体験にもなりますから。燃える人は燃えて失敗してもOK、燃えない人は燃えている人を見つけて、その人の成長を自分の成長につなげていく。プロジェクトベースでも成功体験を個人のモノにするのではなく、みんなでシェアできるとさらにレバレッジが利いてくる。

奥平:
成功体験を伝播させていくということですね。おっしゃるとおり自ら燃やせる人だけではなく、多様なメンバーがそれぞれのやり方でシナジーに関わって、それを共に喜べる組織風土が私たちには合っています。また、失敗しても許容をする。その経験は得難い成功への糧になります。成功・失敗に関わらずチャレンジすること自体を楽しめる環境づくりが、結果的には大きな成功へ繋がっていくと思っています。

岩野:
これから御社に加わることになるかもしれない人たちにとっては、御社が持っている顧客基盤、実績の幅、既存サービスの可能性の上に、明確なビジョンやミッションをもって新しい事業を生み出していこうとしているところが他社にはない大きな魅力です。御社に入れば、自分で起業しなくても、起業するのと同じようなことができる。しかも、新しい事業を作りたいという燃える思いを応援してくれる企業であるように思います。

奥平:
当社はいかようにも変えられる会社です。当社に興味がある人は「いい会社に入る」ということを目的とするのではなく、「いい会社を作るんだ」というスタンスを持っていると非常にやりがいがある、エキサイティングな環境が整っていますよ、と伝えたいですね。

岩野:
御社のカルチャーに惹かれてこれから入社する方と、今まで会社を支えてきた社員さんとの間で起こるシナジーも楽しみですね。新たなるコラボレーションに期待しています。

カルチャーマネジメントをリードした AKIND リサーチャー の秋月さん(中左)、シナジーマーケティング ディレクターの森内(中右)と一緒に

前・後編にわたって、AKIND岩野様と当社副社長 奥平によるカルチャーマネジメントについてのディスカッションをお届けしました。

私たちが見据える未来の市場とお客様、そして私たち自身の成長のために、チャレンジと変化に向き合い続ける、これからのシナジーマーケティングにご期待ください。

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