2021年7月から提供を開始したファン参加型スポンサーシップサービス「en-chant」。スポーツチームのファンとスポンサーをつなぐ新しい応援スタイルを目指して展開しています。
初の提供となったのが、2014年から「Synergy!」を活用いただいている、株式会社名古屋グランパスエイトです。
この記事では、株式会社名古屋グランパスエイトの中野 卓磨氏に登場いただき、「en-chant」のサービス責任者・井町との対談で、導入1年を迎えるサービスの効果と思いを語っていただきました。
※2023.12.25追記)2021年7月より運営してまいりましたen-chantですが、サービスの利用状況を鑑みて、2023年12月25日をもちまして全てのサービスを終了させていただくこととなりました。サービス開始から多くのお客様のご愛顧をいただき、誠にありがとうございました。
●プロフィール
株式会社名古屋グランパスエイト 営業部
中野 卓磨氏(写真右)
愛知県豊田市出身。2015年「地元を盛り上げる仕事がしたい」という思いを胸に住宅メーカーから転職。現在は営業部に所属し、パートナーとの取り組みを通じて地域貢献、地域活性化に尽力している。
シナジーマーケティング株式会社 ビジネスクリエーション部
井町 雅一(写真左)
「en-chant」の発案者でサービス責任者。
2008年新卒でシナジーマーケティングに入社。営業・コンサルタントを経て、現在は新規事業開発に従事。
株式会社名古屋グランパスエイト(本社:愛知県豊田市)
サッカーJリーグ発足時に加盟した10クラブ「オリジナル10」のひとつである、名古屋グランパスを運営。「世界の人々に最も親しまれているスポーツ“サッカー”を、より多くの国民に、世界の人々とのコミュニケーションに…。」という思いを込めて結成。
まさに「渡りに船」。クラブの思いに一致した「en-chant」
中野 卓磨氏(以下中野):
名古屋グランパス(以下グランパス)では、ホームゲームの来場者やファンクラブの会員数が年々増加し、2019年にはクラブ史上初の年間観客動員数50万人突破を達成しました。ですが、その矢先の2020年、新型コロナウィルスが発生したのです。
井町:
リーグの中断や延期、無観客開催など、クラブには前例のない打撃だった思います。クラブ事業としては特にどのような点に影響が出ていましたか。
中野:
Jリーグでは、スポンサー企業のことを双方の課題を共に解決していくという思いを込めて「パートナー」と呼んでいるのですが、パートナーのみなさまも新型コロナウイルスの影響を様々な形で受けておりました。クラブとしても何らかの形でお役に立ちたいと考え、コロナ禍で各パートナー様が展開されている事業・サービスをご紹介する特設ページを立ち上げるなどの施策を実施しました。このような施策を取り組む中で、改めてファン・サポーターとパートナーのみなさまを結びつけるより良いサービスについての在り方を模索しておりました。
そんな折、井町さんたちのチームから「en-chant」の実証実験のお話をいただいたんです。
井町:
スポーツチームを支えるパートナー企業との間で、契約獲得が難航したり、既存契約パートナーの満足度向上が図りにくかったり、コロナの影響が大きくありましたよね。パートナー企業も業績が落ち込んでしまうとそれまで通りは難しい…。
一方で、クラウドファンディングやギフティングなどファンがクラブを支える応援消費の機運が高まっている動きをみて、このような熱量をパートナーにも少し向けることができれば、チームとパートナー間の課題解決につながるのではないか、と、ご提案しました。
中野:
「en-chant」は、ファンがパートナーを介してクラブを応援する、パートナーと私たちの課題も解決できる、今までにない三位一体、三方良しの支援の形がすばらしく、すぐに準備に取り掛かりました。
井町:
私たちもチームとパートナー間の課題に関する仮説が正しかったこと、深い関係性を築いてきたグランパスさんの課題解決のお役に立てること、しかも名門クラブでの実証実験ができる貴重なチャンスをいただけたこと、うれしいことばかりでした。
グランパスとパートナーのためなら!ファンの熱い思いがつねに届く
井町:
実証実験にあたっては中野さんに調整いただき、ファンクラブの方に「en-chant」のような仕組みを支持するか事前にアンケートを実施。
3日間で5,000人超の回答が集まり、90%以上の方がポジティブなご意見でした。
具体的には「観戦時以外でもチームとの一体感を感じられる」「遠方からでも応援ができる」などのお声がありましたね。
さらにアンケートに回答いただいた方数名に個別にインタビューをさせていただき、ファンにとってのサービスの価値について検討を進めました。
中野:
その結果を受けて、豊田スタジアムと最寄りの豊田市駅の動線上に位置し、パートナーでもある多機能施設「コモ・スクエア様」に実証実験をご依頼。施設内での飲食代や買い物代の10%を、選手のコンディショニング調整を行う「グランパスSPORT LAB」の費用に充てるという、初のプロジェクトに挑みました。
井町:
期間中の試合当日、私たちは豊田スタジアムで「en-chant」のPRチラシを配り、試作段階のアプリ画面を操作いただくユーザーテストとインタビューを実施。多くの方が「en-chant」の目的に共感、操作性も「わかりやすい」と評価いただきました。
普段デジタルをメインにした仕事にしている私たちにとって、リアルの場でファンの思いや熱意、スタジアムの熱気に触れられた経験は貴重でした。ファンの方との会話のなかでも一緒にチームを盛り上げる仲間として受け入れてもらえたような感覚もあり、「en-chant」をいっそう磨いていく決意を新たに。短期間の実証実験で数字こそ小さかったものの、認知が広がれば、拡大できる手応えを得られました。
プロジェクトは無限大。スポーツ業界の切り札に!
井町:
実際の運用を経て「en-chant」のクラブ・ファン・パートナーの三方良しの実現は大小さまざまな課題はあるものの、こういった世界の必要性を改めて実感しました。
今後の課題としては、選手にメッセージを届けるプロジェクトの事後アンケートで、「選手が直接見てくれるなんて思わなかった」という声がありました。プロジェクトの主旨やリワードがより明確に伝わればより多くの方にご参加いただけると思います。
また、最初のアンケートに回答された5,000人が以降のプロジェクトにすべて参加とはいかなかったので、再アンケートなどで検証する必要がありますね。
継続的にプロジェクトに参加することは、クラブを支えていただくことにつながります。たくさんのプロジェクトに参加された方へ、クラブから特別な体験をご用意するなど、ファンの皆さんに喜んでいただける仕組みも構想しています。
中野:
プロジェクトの内容については、私と井町さんとで頻繁にミーティングを行っているのですが、多様なプロジェクトを立案できる可能性を感じています。例えば、選手にヒアリングしてプロジェクトにすれば、より多くの参加が望めます。リワードもより魅力的にして、プロジェクトにご参加いただきたいと思っています。
パートナーの声としては、これまで2回のプロジェクトを実施している「コモ・スクエア様」から、試合開催日以外の利用や消費にもつながると、上々の評価をいただいています。
井町:
今後は、コロナ禍など不測の事態や遠方にお住いの方にも参加いただけるプロジェクトがもっと必要ですね。
中野:
その点で実現したいのが、パートナーのECサイトと連携してのプロジェクトです。ECサイトであれば距離的、時間的拘束がなく、遠方や海外のファンにも参画・応援消費参加いただけます。
もうひとつ、Jリーグの理念であり、クラブの使命である地域貢献については、愛知県全域でより多くのパートナーとプロジェクトを行い、この地域を盛り上げていきたいですね。
「en-chant」を通じて、愛知県をグランパスのシンボルカラー・バーバリアンレッドで真っ赤に染めることが私の目標です。
井町:
それをぜひ実現したいです! 地域貢献・還元は「en-chant」の目的でもあるので、しっかりお手伝いします!
「en-chant」の構想段階のことですが、各地のスポーツチームが展開するプロジェクトについて、どのチーム・地域が盛り上がっているか、地図上で表現すればおもしろいなと。
中野:
それは「ウチも負けていられない」と、ポジティブな競争や相乗効果につながるかもしれませんね。ぜひ、他のクラブでの事例、実績もプロジェクトの参考にさせてください。
「en-chant」は、井町さんたちが一緒に考え、支えてくださるので本当にありがたい。今後も「en-chant」のポテンシャルを大いに活用していきます。
井町:
そういっていただけると、私たちもありがたいです。
最後に、中野さんから「en-chant」の魅力を語っていただけますでしょうか。
中野:
クラブにはファン、パートナーが不可欠であり、三者が揃ってはじめてクラブが成立します。「en-chant」を通じて、ファンがパートナーの商品やサービスを購入・利用いただくことで、パートナーのみなさまはより一層クラブへの協賛意義を感じていただくことができ、さらなる協賛の拡大につながるかと思います。クラブはその協賛金をもとにさらに魅力的なチーム作りを行い、そのチームをファンが応援する。
そのような形で三者がスパイラルアップできるというのがen-chantの魅力ですね!
シナジーマーケティングでは、グランパスをはじめ「en-chant」導入のチームとの協働はもちろん、スポーツのジャンル、チームの大小を問わずサービスの提供を進め、チーム・ファン・スポンサーも、地域も、そして日本全体を盛り上げていきます。