日本ラグビー発展に向けたファンマーケティング | Synergy! で変わったマーケティング業務と現場の意識

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左より、ジャパンラグビーマーケティング 金木様、塩谷様、当社 長島、竹内、山内

日本市場では、消費者ニーズの多様化とともに、スポーツ以外の余暇を楽しむコンテンツも増加傾向にあります。この状況下で、スタジアムに足を運びグッズを購入するような熱心なファンを創出するためには、ターゲット層に適切な情報を発信するマーケティング戦略が不可欠です。加えて、近年では、ソーシャルメディアがコモディティ化するなかで、SNSや口コミといった実際に体験したユーザーによる情報発信が、ビジネスにおいても大きな影響力を持つようになりました。ファンマーケティングは短期的な業績向上だけでなく、顧客生涯価値(LTV)を向上させるための重要な手法のひとつとなっています。

今回ご紹介するジャパンラグビーマーケティング様も、ファンマーケティングに注力されている企業のひとつです。シナジーマーケティング(以下、当社)が提供するマーケティングSaaS「Synergy! (シナジー)」の導入によって、ジャパンラグビーリーグワン(以下、リーグワン)所属のクラブも含めたマーケティング現場にどのような変化があったのか、ジャパンラグビーマーケティングの金木様、塩谷様と当社のプロジェクトメンバーが語り合いました。

対談メンバー

金木 寛之 氏
ジャパンラグビーマーケティング株式会社 チケッティング・ファンクラブ・CRMグループ 
リーダー
経営企画グループ 
リーダー

塩谷 篤史 氏
ジャパンラグビーマーケティング株式会社 システムグループ 
エグゼクティブリーダー

山内 省吾
シナジーマーケティング株式会社 クラウド事業部 第1アカウントソリューショングループ 
マネージャー

長島 潤也
シナジーマーケティング株式会社 クラウド事業部 第6アカウントソリューショングループ 
マネージャー

竹内 勇太
シナジーマーケティング株式会社 クラウド事業部 第1エージェントグループ 
CRMディレクター

※部署名・役職は取材当時(2025年1月)のものです

ジャパンラグビーマーケティング株式会社

ジャパンラグビーマーケティング(株)(以下、JRM)は(公財)日本ラグビーフットボール協会(以下、JRFU)、(一社)ジャパンラグビーリーグワン(以下、JRLO)とソニーグループ(株)の3社で立ち上げられ、その後(株)NTTドコモも参画。
ラグビーの認知度やファンエンゲージメントを高めてファンの拡大および収益拡大をしていくためのチケット販売やグッズ販売、デジタルコンテンツ配信事業、プロモーションなどを実施。これらによって収集されたデータを活用しながら事業を推進する会社。
https://japan-rugby-mktg.com

重視すべきは「運用負荷」と「操作性」 —— クラブでの幅広い活用を視野に入れたツール選択

―― ジャパンラグビーマーケティング様とは、2022年10月からお付き合いさせていただいています。Synergy!を導入いただいた経緯をお伺いできますか。

ジャパンラグビーマーケティング 塩谷:
もともと他のメールマーケティングツールを利用していたのですが、お客様のチケット購買履歴の蓄積機能が弱く、セグメント配信の操作も複雑で、マーケティング施策の実施に支障を感じていました。ベンダー側のサポート体制はありましたが、メール配信やデータ連携でエラーが出た際の対応も負担に感じていました。履歴データベース機能が充実していて、操作性の良いツールへのリプレイスを考えていたときにSynergy!に出会った、という経緯です。

以前のツールに比べて、運用負荷が軽いことも導入の後押しになりました。特に、データ連携しやすい点がうれしいですね。自社側でデータベースを持ち、それをメールマーケティングツールと連動させて運用している企業もありますが、組織体制や運用コストの面で現実的ではありませんでした。当社は大きな組織ではないため、私の方で、当社が保有しているIDの統合管理、サービスチケットの販売サービス、ファンクラブ、Synergy!のDMP、BIツールなど、システムのほぼ全般を管轄している状態です。私が所属するシステムグループ自体も少数精鋭なので、ツールの運用のしやすさは大変重要でした。

ジャパンラグビーマーケティング 金木:
私の方では、主にCRMを含むマーケティング領域を担当しており、リーグワンに所属するクラブのマーケティング活動などの支援を通して、ラグビーファンの拡大および収益拡大に寄与することをミッションとしています。業務の一環で、顧客データを細かく分析・可視化し、リーグワンの各クラブの担当者に、ツールの効果的な活用方法や成功事例などを共有するサポートも行っています。そのため、操作性が良く、データベースやフォーム機能も充実しているSynergy!なら、ツールに慣れていないクラブの担当者であっても少ない学習コストで活用でき、リーグワン全体のマーケティング活動の幅が広がるのでは、と考えました。

加えて、以前在籍していたスポーツ関連企業でもSynergy!を利用しており、本部だけでなく各チームにおいてもマーケティング活動にプラスの効果があった点も導入の後押しになりました。当社と各クラブとの連携が深まり、より高いマーケティング効果が期待できるのでは、との想いもあります。

シナジーマーケティング 竹内:
Synergy!の導入を検討された際に、「従来のツールも併用する」というお考えはありませんでしたか。ツールを一本化すると決断された理由をお聞かせください。

ジャパンラグビーマーケティング 塩谷:
併用だと運用負荷が高くなってしまうことが一番の理由です。システムグループの人的リソースが少数であることに加えて、システム投資の予算にも制限があるため、現実的ではありませんでした。Synergy!に一本化すれば前述の課題が解決して運用負荷は下がりますし、今後の開発拡張性も上がる可能性が高いと判断しました。

ジャパンラグビーマーケティング 金木:
各クラブからツールの操作方法やマーケティング施策の方向性などの問い合わせがあった際に、Synergy!であれば、私たちの方である程度回答ができるため、施策の実施スピードが上がるという利点もありました。以前のツールは操作が難しく、こちらで回答できる範囲も限られていました。

シナジーマーケティング 長島:
前職からご利用いただき、とてもうれしく思います。ツールの運用面や業務効率化、各クラブとの連携など、さまざま点でメリットを感じていただいたとのことですが、ご期待に添えていますでしょうか。

ジャパンラグビーマーケティング 塩谷:
運用負荷は下がったように感じています。これは金木も同意見だと思いますが、やはり履歴データベースの存在が大きいですね。有事の際に早急かつきめ細やかな対応をしていただいたり、開発が必要なケースでもしっかりサポートいただけるので、とても助かっています。当社の状況や事情を理解したうえで、ツールの提供から一歩踏み込んだ、データベースの構築やマーケティング施策の方向性まで幅広く提案していただける点もありがたいです。ツールを一本化する際に事故なくスムーズに進められたのも、シナジーマーケティングさんのサポート体制が充実していたからではないかと考えています。Synergy!の導入時に、履歴データベースでイベントの申し込みや抽選の履歴、実際の参加・不参加などの一連の管理をするための運用設計を行ったのですが、そこでも大変お世話になりました。

シナジーマーケティング 竹内:
ありがとうございます。要件定義の段階で、塩谷様からいただいたオーダーに対して、当社メンバーも交え、現状の確認や理想とする使い方、構築の進め方、リスクの洗い出しなどについて、たくさん議論させていただいたことが、特に印象に残っています。お客様のやりたいことを実現するための設定や活用方法を考え、実行するCRMディレクターとして、塩谷様の課題解決のお力になれたことを大変うれしく思います。

シナジーマーケティング 山内:
デジタルマーケティング領域の幅広いサポートおよび伴走体制は、当社の強みであり特徴でもあります。他社様の例で恐縮ですが、「システム構築は自分たちでできるので、サポートは不要です」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、いざ蓋を開けてみると、やりたいことと設計が噛み合っておらず、データベースを再設計しなければならない、といったケースもあります。密に議論しながら構築全体のご支援をさせていただいたことが、今回の成果につながったのではないかと考えています。

▶︎お取り組み内容の詳細は、Synergy!公式サイト掲載の事例記事をご覧ください。

ラグビー界発展の鍵のひとつは「マーケティング現場の業務変革と文化の醸成」

シナジーマーケティング 山内:
マーケティングでの活用でも、ご期待に添えていますでしょうか。

ジャパンラグビーマーケティング 金木:
そうですね。顧客履歴データの保持が以前のツールよりも充実し、メール配信時のセグメント設定の自由度や操作性も上がったことで、施策の幅が大きく広がりました。ラグビーは野球やサッカーほど年間の試合数が多くないので、お客様の購買履歴や行動履歴の一つひとつがとても重要なんです。

ジャパンラグビーマーケティング 塩谷:
試合数が少ないと、長いスパンで遡って購買履歴や行動履歴を参照する必要がどうしてもあるので、それらがIDに紐づいた状態かつ横串で見られるようになったことはとても大きいです。思わずガッツポーズをしてしまいました(笑)。竹内さんにうまく設計していただき、感謝しています。

ジャパンラグビーマーケティング 金木:
おかげで、「特定の試合のチケットやグッズを購入したお客様」「1年間来場が途絶えているお客様」などのように、ターゲットをより細分化したメール配信ができるようになりました。ターゲットごとに適切な情報配信ができるようになったので、次はお客様の購買意欲を高める(リードナーチャリング)に有効なステップメールにも着手したいと考えています。今は打ち手が点でしか存在していないので、より効果を高めるために線にしていきたいですね。

今まで、各クラブのマーケティング現場において、メールマーケティングをはじめとするマーケティング施策の成果を数字として把握し、PDCAを回す文化は多くありませんでした。Synergy!を通して成果が可視化されたことで、自分たちの取り組みに自信を持つことができるようになりました。そこからさらに成功体験を他のクラブに共有する動きが生まれ始めたことは、大きな変化です。「誰に、どのようにアプローチしたらいいのかわからない」状態から、当社が設立されて、塩谷が担当してくれているDMPがあり、さらにSynergy!という武器を今回手にしたことで、どうすべきかわかってきた人たちが少しずつ増えているように思います。この動きが、ラグビー界全体に浸透していってくれればと期待しています。

ジャパンラグビーマーケティング 塩谷:
現場の意識の変化によって得られる効果は、結構大きいと思っていて。「Synergy!を使えば、〇〇や〇〇ができる。となると、リーグワンでは〇〇などのやり方ができるはず。それを踏まえると、協会側では〇〇ができるのではないか」といったように、新しい発想が生まれていきます。さらに、そこから逆算して、「メールマーケティングのために〇〇のデータが欲しい。データを取るためには、チケットラグビー(チケット販売サイト)で〇〇の機能があればいけそう。その機能があれば、さらに別のデータも取れるのでは」などと、自分たちの業務から遡って思考するメンバーも出てくるでしょう。

これは集客でも同じことが言えると思っています。今は、「とにかくチケットを売らねば」と販売の方に意識が集中していて、興行の運営や会場の工夫にまで気が回っていない可能性があります。ここでも逆算の思考で全体最適化ができれば、チケット販売数や来場者数も自ずと上がってくるはずです。自身の業務範囲だけでなく、もっと広い視点でマーケティングを考える意識が広まっていけば、当社だけでなく、ラグビー界全体の成長にも良い影響があるのではないかと考えています。

ジャパンラグビーマーケティング 金木:
私たちの取り組みが、ラグビー界の発展に少しでも寄与できていたらうれしいですね。

―― 各クラブの現場の意識が変革され、マーケティングにより注力できる体制が生まれると、施策実施のコストも抑えることができるようになります。

ジャパンラグビーマーケティング 金木:
ファンマーケティングの重要性は今後さらに増していくと考えられるので、コストパフォーマンスの向上は必須です。これまでは、代理店に対して「本部の予算が〇〇円なので、この金額でどのようなプロモーションができるか考え、実施してください」と依頼するに留まっていました。この方法では、ややもすると、年間で数千万円、数億円単位のコストがかかったのに、いざ蓋を開けてみたら「費用に見合った集客ができなかった」という状況に陥ってしまう危険性があります。

今回、ツールをSynergy!に一本化したことで、「どのターゲットに、どのような情報(メール)を届けるべきか」を加味したうえで施策に落とし込んだり、実施後に効果検証を行い、ナレッジとして社内やクラブ内に蓄積、共有することが可能になりました。これを繰り返すことで施策の精度も上がっていくので、マーケティングコストの削減と成果最大化の両方に良い影響があると考えています。まずは自分たちで施策を実行し、目標に対して足りない部分が出てきたタイミングで、代理店などの外部リソースを有効活用する形にしていけたらベストですね。

リーグワンでもSynergy!を導入するチームが増えており、ラグビー界全体でも、顧客データの活用やメールマーケティングなどをはじめとするデジタルマーケティングのニーズが高まっています。これを機に、ファンマーケティングにおけるさまざまな実績や成功事例を生み出し、ラグビー界で共有できる環境づくりにも力を入れたいと考えています。私たちは、多くのプロスポーツチームでの導入実績のあるシナジーマーケティングさんと、ゴール達成に向けた新しい取り組みができることをとても楽しみにしています。これからも、ぜひお力添えをよろしくお願いします。

シナジーマーケティング 山内:
大変ありがたいお言葉です。当社は、生活者と企業がお互いにファンと言い合えるような関係性を築き、そのつながりから生まれる価値を通じて新たなマーケットを創り出していくことをミッションに、日々活動しています。これまでの知見を生かして、ラグビーファンをひとりでも多く増やせるよう、これからも貴社のファンマーケティングを包括的にご支援してまいりますので、よろしくお願いいたします。本日は、ありがとうございました。

(取材・編集/シナジーマーケティング ブランドマネジメントチーム)

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