デジタル化で販売スタイルを刷新!森永乳業様が目指す、顧客ファーストの宅配サービス

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左から、当社 東雲、中山、多々良、森永乳業 岡野様、長崎様、鈴木様、志水様

人口減少や高齢化が進むなか、生産性向上の手段としてDXの重要性が提唱されて久しく、企業規模に関わらず、DXに着手する企業も増えてきています。トップダウンではなく、時流の影響を大きく受ける現場の事業部が主体となって、より成果を出すべくデジタル化やデジタルマーケティングに本格的に取り組むケースも出てきています。

今回ご紹介する森永乳業様もその企業のひとつです。2021年末に発足した「次世代宅配プロジェクト」をきっかけに、宅配サービスのデジタル化に踏み切られました。シナジーマーケティング(以下、当社)が包括的にご支援する「販売スタイルのデジタル化」の概要やその取り組みによって社内外にどのような変化があったのか、森永乳業様と当社のプロジェクトメンバーが語り合いました。

■次世代宅配プロジェクトとは
宅配サービスのリニューアルに関するプロジェクト。デジタル化の面では、業務フローやシステム、お客様とのタッチポイントなどのデジタル化による売上の増加を目的に、オンライン経由の月間契約数の増加を成果の指標として置いて実施している。

対談メンバー

鈴木 淳介 氏
森永乳業株式会社 市乳営業統括部
マネージャー  

長崎 星乃 氏
森永乳業株式会社 市乳営業統括部
アシスタントマネージャー

東雲 有輝
シナジーマーケティング株式会社 ビジネスクリエーション部
ビジネスデザイングループ

多々良 史弥
シナジーマーケティング株式会社 クラウド事業部
第2デジタルマーケティンググループ

中山 雅士
シナジーマーケティング株式会社 クラウド事業部
第2デジタルマーケティンググループ

※部署名・役職は取材当時(2024年9月)のものです

■森永乳業株式会社

1917(大正6)年創業以来、乳製品の製造・販売を中心に事業を展開。「かがやく“笑顔”のために」をコーポレートスローガンに、おいしさと健康そして機能性をもつ多彩な乳製品で、お客様の健康と幸せを追求しています。2024年春には、宅配サービスを「健幸サポート便」へとリニューアル。全国約2,500の販売店を通じて、宅配限定商品をお客様にお届けしています。
https://www.morinagamilk.co.jp/

お客様の利便性向上を実現する、新たな販売スタイル

―― 最初に、今回デジタル化の対象となった宅配サービスについてお聞かせください。

森永乳業 鈴木:
森永乳業は1929年にビン詰め牛乳の販売を開始して以来、お客様の健康のニーズにあわせた宅配専用商品を全国の牛乳販売店様(以下、販売店様)約2,500店を通じてご家庭に宅配しています。数年前から、ビン容器商品の取り扱いについて社内で検討を重ね、2024年4月にビン容器商品の販売を終了すると同時に宅配サービスを「健幸サポート便」へとリニューアルし、商品も大幅に見直しました。数十年も続く伝統的なビン牛乳の宅配をやめるという決断は、私たちメーカーだけでなく、販売店様にとっても大きな事業変革でした。

森永乳業 長崎:
宅配サービスのリニューアルと並行して、販売スタイルのデジタル化にも着手しました。私たちが事業を始めた当時と比べてお客様の生活様式は大きく変化しているので、よりフィットする形にしたいと考えました。従来の販売スタイルは、お客様が注文や注文変更等をするためには、宅配用の受箱に紙のメモを入れたり、電話をかけるなどのアナログな方法で販売店様にコンタクトする形式だったので、生活様式にあわせて利便性を高める必要がありました。加えて、販売店様側や私たちメーカー側もアナログ対応が必要になるため、業務効率化が難しいだけでなく、情報を一括でデータ管理できないといった課題もありました。

森永乳業 鈴木:
高齢者の方の利用が多いことや地域の販売店様はお客様とのリアルでのコミュニケーションを重視されていることなどから、デジタル化になかなか踏み切れなかったというのが実情です。今回、お客様のニーズの多様化にあわせて宅配サービスをリニューアルする機会を得たことで、販売スタイルにまつわる課題も同時に解決すべきだと考え、デジタル化に踏み切りました。アナログのメリットもありますので、画一的にデジタル化するのではなく、アナログの良いところも残しつつデジタル化を進めています。

―― 以前から、キャンペーン時にスポットで当社マーケティングSaaS「Synergy!(シナジー)」の運用サポートをさせていただいていましたが、今回「デジタル化のパートナー」として選んでいただいた理由をお聞かせください。

森永乳業 長崎:
もともと取引実績のある企業様にご依頼するつもりだったので、シナジーマーケティングさん含め3、4社にお声がけしました。決め手になったのは、「キャンペーン施策を支援していただいた経験から、弊社の事業モデルや業界特性をよく知ってくださっている点」「Webサイトの大幅リニューアルやその後の運用だけでなく、テストマーケティング、プロモーションをはじめとするデジタルマーケティング領域すべてを一社で対応いただける点」でした。過去のキャンペーンなどでSynergy!に蓄積されたデータをそのまま活用できる点もプラスでしたね。

実は、最初にデジタル化のご相談をしたときは、Webサイトのリニューアルのみを考えていたんです。東雲さんとお話しするうちに、ピンポイントの施策ではなく包括的なデジタルマーケティング領域への取り組みが必要不可欠だと気づき、プロジェクトの規模が大きくなっていった経緯があります。

シナジーマーケティング 東雲:
お打ち合わせで、「次世代宅配プロジェクトは、デジタルを活用した売上増加を目的に、オンライン経由の契約者数を約10倍にするのが目標」と伺い、これはピンポイントの施策だけでは達成が難しいと考えました。未来を見据えた、宅配サービス全体のデジタルマーケティング戦略を考えていく必要があると判断し、包括的なご提案をさせていただきました。

森永乳業 長崎:
今まではスポットでの運用サポートのみのお付き合いだったので、包括的な提案をいただける会社さんだとは想像しておらず、驚いたのと同時に大変ありがたく思いました。「2024年4月の宅配サービスのリニューアルにあわせて、デジタル化も進める」というゴールは決まっていたものの、なにをどのようにするべきか、全体的な戦略を思い描けておらず、「私たちだけで進めるのは難しいのでは……」と考えていたところに、ロードマップを示していただいた形です。

弊社の本社と支店、販売店様の三者間で情報共有ができたり、申し込みデータを一元管理できるような管理システムの構築もいつかはやりたいと考えていたのですが、なかなかに腰が重い状況だったので、今回一緒に着手することができて大変うれしく思っています。

―― スポットでのご依頼から一足飛びに社運をかけたプロジェクトのパートナーに選んでいただける、という展開はなかなかないですよね。

森永乳業 鈴木:
東雲さんのご提案が素晴らしかったので(笑)。

シナジーマーケティング 東雲:
ありがとうございます(笑)。上流である「なぜ宅配サービスのリニューアルと同時にデジタル化を進めるのか」の定義から、下流の実際の施策まで一緒に考えさせていただいたことが、今回の評価につながったのではないかと思います。

私たちとしては、「Webサイトをリニューアルするだけでは、森永乳業様が思い描くデジタル化ができた、とはいえないのでは」という想いがあったので、長崎様の潜在的な課題感を知るべく、たくさん対話させていただきました。そのなかで、LINEアプリの活用やテストマーケティングの実施、顧客データの活用、管理システムの構築、プロモーションなどさまざまなご要望をいただいたんです。それらを実現するための進め方やKPIをどこに置くかなどを検討しているうちに、現在の包括的なプロジェクトの形になっていった印象です。

シナジーマーケティング 多々良:
宅配サービス全体のデジタルマーケティング戦略を立てるところから参加させていただけたので、私たちも森永乳業様のビジネスモデルや課題感をしっかり理解したうえでプロジェクトを進めることができました。

森永乳業 長崎:
戦略立案からやるべきことを整理したうえでのロードマップ作成まで対応していただき、とても感謝しています。デジタルマーケティングの知見がないところからスタートしているので、今回の取り組みについて社内理解を得られるかたちで説明するのがとても難しかったのですが、そこもフォローしていただきました。

社内説明資料を作ったり、予算獲得に向けてどのような説明を行うべきかを一緒に考えたり、説明の場に同席してもらうなど、手厚くバックアップしていただいたおかげで、無事予算を確保し、取り組みを進めることができました。やはりデジタルマーケティングの専門家である東雲さんや多々良さん、中山さんの口から説明していただくと説得力が違いますね。

社内理解の促進で、予算獲得、体制構築、人材育成の高い壁を越える

―― 予算の話題が出ましたが、当初予定していたよりも着手する領域が広くなったことで予算獲得に苦労されたと伺いました。

森永乳業 長崎:
想像以上に大きな壁になりました。Webサイトのリニューアルだけでなく、市場調査や競合調査などの事前準備、テストマーケティングの実施、管理システムの構築なども行うとなると、予算規模が大きく異なってしまい……。今まで着手できていなかった領域で予算ゼロからのスタートだったこともあり、当初はなかなか社内理解が得られませんでした。

森永乳業 鈴木:
レガシーな業界なので、どうしてもデジタル化への解像度が低くなりがちで……。私たちも、具体的なロードマップを示しながら詳細に説明していただくまでは予算感がまったくイメージできませんでしたし、それは社内も同様でした。デジタルマーケティング用語に触れる機会のない社員も多く、取り組みに難色を示す人もいましたので、まずはデジタル化に対する認識のすり合わせからはじめました。

並行して、「私たちの販売スタイルをこれからどう変えていくのか」「従来の販売スタイルからなぜ転換が必要なのか」について説得力をもって社内に示す必要があったので、こちらも東雲さんに助言をいただきつつ進めました。予算獲得ができたのは、ひとえにシナジーマーケティングの皆さんの細やかなフォローのおかげだと思っています。

シナジーマーケティング 東雲:
お力になれていて、大変うれしく思います。予算獲得は、決裁者の方々との目線あわせが肝なのですが、直近の施策にかかるコストだけでなく、一年後、二年後、三年後と、時間経過にあわせてどのような販促コストが発生するのか、長期的な視点を示すことが重要です。私自身、予算獲得に向けた資料作成や説明を行う際は、今ある数字をもとに、実施する施策の兼ね合いもみつつ、目標達成までにかかる現実的な期間やコストを提示するように心がけています。

―― 当社と密に連携することで予算獲得を実現されたのですね。プロジェクトはどのように進められましたか。

シナジーマーケティング 東雲:
フェーズ1である2022年度は、目標達成に向けた戦略を検討するための準備期間とし、市場調査・分析を行ってデジタルマーケティング戦略の方針を決めることに集中しました。フェーズ2の2023年度は、獲得した予算に基づき、さまざまなテストマーケティングの実施や検証、バックエンドの管理システム構築を含むWebサイトのリニューアルに着手しました。フェーズ3となる2024年度は、4月にリニューアルしたWebサイトを公開し、PDCAを回しながら目標達成に向けた施策を各種展開しています。

▶︎お取り組み内容の詳細は、Synergy!公式サイト掲載の事例記事をご覧ください

―― プロジェクトの開始前と後で森永乳業様のプロジェクトメンバーや社内にどのような変化がありましたか。

森永乳業 鈴木:
業務面では、管理システムの構築によって、お客様からの注文情報・個人情報の取り扱いに関する業務の効率面や安全性も大幅に向上し、工数削減も実現できました。
事業部内の雰囲気も変わりましたね。横文字のデジタルマーケティング用語に対する理解が進みました。私たちプロジェクトメンバーの間では、日常的にデジタルマーケティング用語を使用するようになりました。

森永乳業 長崎:
社内体制のデジタルシフトも起こりましたね。もともと事業部内にデジタルマーケティングを担当するチームがなかったので、プロジェクト開始前は私個人が事業部のホームページ担当者という立場でメイン業務と兼任していたんです。その状況からプロジェクト開始を境に部内にデジタルチームが発足し、大きく体制が変わりました。現在は、私はデジタルマーケティングの専任者になり、支店では「新たな宅配サービスを盛り上げていこう」とデジタルプロモーター*1 が置かれました。販売店様側でもデジタル施策を推進するチームが発足しています。

森永乳業 鈴木:
社内理解が進んだことで、プロジェクトの位置付けも大きく変化した印象です。シナジーマーケティングさんが私たちの事業モデルや業界特性を理解したうえで、しっかり伴走してくださっていることが大きいと考えています。知見がない状態かつ事業部の力だけで現場を変えていこうとしても限界があります。「デジタル化を実現するだけでなく、しっかり成果を出すために専門家の力を借りる」という選択は間違っていなかったと確信しています。

シナジーマーケティング 東雲:
大変うれしいお言葉です。私たちはデジタルマーケティング領域の包括的なサポートを得意としていますが、大きな成果を得るには、三年、五年、十年という長い時間軸で見ていかないと難しい側面もあります。今回は、森永乳業様から、三年先、五年先を見据えたご相談をいただけたので、よりお力になることができたのではないかと考えています。まだまだ道半ばですので、これからも全力でサポートさせていただきます。

森永乳業 鈴木:
私たちにとってはとても大きな革新ですが、お客様から見れば「ようやく当たり前の水準まできた」というレベル感だと思います。これからも気を緩めず、目標としている成果が出せるように注力していきますので、引き続き、よろしくお願いします。

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*1 組織内でデジタル化を推進する際の旗振り役となるプロモーター的役割の人物。

業界の先駆者として常に進化し、新しいサービス価値を提供していく

―― 宅配サービスのリニューアルに伴うデジタル化が始まって約半年経過しました。今後どのような施策を考えていますか。

森永乳業 鈴木:
まだ半年なので、支店や販売店様のなかにはデジタル化に疑心暗鬼な方もいらっしゃいます。ですので、まずは引き続き、理解促進、現場浸透に注力していきます。現場の皆さんに「業績にいい影響があった」「業務の効率化が実現できた」などのプラスの手応えを感じてもらうことが先決だと考えています。

シナジーマーケティング 多々良:
私たちは、デジタルマーケティングの専門家として、商品特性や市場、ユーザーの動向を見つつ、森永乳業様の支店や販売店様の事情も加味したうえで、現実的な成長プランをご提案したいと考えています。
加えて、「森永乳業様の高い知名度を、どのように活かして宅配事業の認知拡大を行うか」についても現在議論しているので、方向性がまとまり次第、プロモーション施策にも着手していきます。

シナジーマーケティング 中山:
Webサイトや管理システムに関してお話しすると、まずWebサイトではコンテンツを増やしていく必要があると考えています。SEO対策も含めて、現在対応を進めています。
システム面では、Webサイト経由、キャンペーン経由を問わず、顧客の申し込み情報がSynergy!で一元管理できるようになったので、それらの顧客データを今後のマーケティング施策に活用することで、より成果をあげていきたいですね。

―― さまざまな施策に加えて、社内の人材育成にも注力されていると伺いました。

森永乳業 長崎:
そうですね。2024年4月から、シナジーマーケティングさんの新任マーケティング担当者育成サービス「DX BOOSTER」*2 を利用しています。本社はもちろん支店のメンバーも参加します。最終的な目標はマーケティング業務を完全に自走できるようになることですが、最低でも自分たちで施策の良し悪しや、やるかやらないかの判断をしながらPDCAを回せるところまではいきたいと考えています。非常に実践的なカリキュラムなこともあって、参加者は全員意欲的で毎回講義を楽しみにしています。

森永乳業 鈴木:
当部のトップも自ら研修に参加し、健幸サポート便やデジタル化の推進を積極的に社内外に発信するなど、取り組みの浸透に努めている状況です。社内にデジタル化の追い風が吹いている状況なので、この機を逃さず、シナジーマーケティングさんの力を借りながらしっかり成果を出したいと考えています。

弊社は今後も健康と幸せをお届けする企業として、さらなる成長を目指していきます。業界に先駆けてビン容器を終了し、デジタルを活用した新しい宅配サービスを開始するなど、先陣を切って行動している点は弊社の強みだと考えています。牛乳宅配サービスの市場は縮小傾向ですが、食品・飲料の宅配サービスはこれから大きく伸びていく市場です。この強みを活かし、お客様や販売店様をはじめとするステークホルダーの皆さまにさらなる価値提供をしていきたいと考えていますので、これからも支援をよろしくお願いします。

シナジーマーケティング 東雲:
森永乳業様の理想実現に向けて、引き続き、弊社一同全力でサポートさせていただきます。
本日はありがとうございました!

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*2 6か月間の実践的プログラムによって、未経験から始めても、短期間で現場で使える実務的なデジタルマーケティングスキルを身につけることができる。

シナジーマーケティングは、森永乳業様の事業成長をご支援していく

―― 当社による森永乳業様のご支援は、今年で3年目を迎えます。これからも理想実現のためのパートナーとしてご支援させていただきます。

ビジネスクリエーション部 東雲、クラウド事業部 多々良、中山:
このたび、宅配サービスリニューアルという大きな転機に多数の領域で関わらせていただけたことを、大変光栄に思っています。森永乳業様にとって初めてのデジタル施策が多いなかでも貪欲に学ばれ、商品の魅力を発信すべく細部にまでこだわる姿勢に、我々も日々刺激を受けて取り組んできた数年でした。
今後も、宅配サービスの屋台骨として、森永乳業様とともにチャレンジを続け、販売店様やお客様にさらに大きな価値を提供できるよう努めていきたいと思っています。

(取材/編集:経営推進部 ブランドマネジメントチーム)

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