シナジーマーケティングは、誰もが安心して情報を企業に預け、互いの価値観を共有することで、生活者と企業が惹かれ合う社会の実現を目指し、デジタルマーケティングをはじめとするITサービスの提供や情報発信を行っています。展示会への出展もそのひとつです。
今回は、国産CRMシステム「Synergy!」の開発・販売・コンサルティングなどを手がけるクラウド事業部の展示会の裏側に迫ります。展示会への出展を通じて世のマーケターに提供したい価値や届けたい想いから具体的な出展ノウハウまで、企画制作を担当する中村さんに聞きました。
(取材・編集/シナジーマーケティング ブランドマネジメントチーム)
プロフィール
中村 史織 / クラウド事業部 マーケティングG
2021年入社。入社以来、自社プロダクトのマーケティングに携わり広告運用・展示会企画などマーケティングの企画部分を担当中。現在はマーケティングGのマネージャーを務める。
まだ見ぬ「Synergy!」を必要とするお客様と出会うために
―― クラウド事業部が展示会に出展する目的を教えてください。
中村:
大きく二つあります。一つ目は、「Synergy!を必要とする(Synergy!で課題解決ができる)お客様にSynergy!と巡り会う場を提供すること」です。今の時代、Web集客が主流ではありますが、情報が溢れすぎていて、自力で最適なツールを見つけ出すのは容易ではありません。当社としても、Web広告の短い文言のなかで、Synergy!の強みである多機能かつ高いカスタマイズ性を表現するのは困難です。その点、展示会はお客様と直接対話できるので、課題解決に最適なツール活用をお伝えできます。
二つ目は、「Synergy!の最新情報の発信」です。国産ツールのなかでは一番長くサービスを提供していますが、古いままではなく、時流やお客様の要望にあわせて常にアップデートしています。国内外問わず新しい競合ツールが数多く誕生しているので、それらの情報に埋もれてしまわないように情報発信の場としても展示会を活用しています。
―― 展示会は、直接的なリード獲得だけでなく、ブランディングの側面でも重要な位置付けですね。
中村:
はい。なので、出展する展示会も、「出会いたいお客様が来場するテーマかどうか」を主軸に決めています。一例ですが、どんなに開催規模が小さくても、Synergy!と親和性のある参加が多く見込まれる展示会には出展検討しますね。規模が大きい展示会は、ブランディングの意味合いで出展することが多いです。去年までは東京および大阪開催の展示会に出展していましたが、今年は福岡も検討しています。九州の展示会への出展は初めてなので、新しい出会いがあることを期待しています。
―― ブースに来場者を誘導する仕掛けも、時流にあわせて細かく変えていると伺いました。
中村:
その時々で出会いたいお客様や伝えたい情報が違うので、都度チューニングしています。私が展示会企画を担当しはじめた2021年頃は、「まず、シナジーマーケティングを知ってもらうこと」を目的としていて、デジタルマーケティング支援の会社によくあるおしゃれかつ先進的なイメージ重視のブースデザインにしていました。しかし、当日ブースに来てくれた方と会話して、方向性が違っていることに気づきました。来場者の方は、企業やツールの情報よりも、課題解決の糸口を知りたいんです。
そこで、「こんなお悩み、ありませんか?」「実は、当社は〇〇をお手伝いできるんです」「〇〇の業務の〇〇を解決できます!」といった具体的な課題にフォーカスしたパネルやのぼり旗を、目につきやすい壁面に設置することにしました。効果は絶大で、ブースに来てくれた方だけでなく、通行人からも「これってどういうこと?」「本当に〇〇ができるの?」と、良い反応がもらえるようになりました。「Synergy!というサービスは、課題解決の役に立つかもしれない」という印象を持ってブースに立ち寄ってもらえるようになり、接客もよりスムーズになりましたね。
―― 2024年4月に出展した「第33回 Japan IT Week 春」でも、ブースのあちこちにパネルやのぼり旗がありましたよね。他にも工夫した点はありますか。
中村:
「第33回 Japan IT Week 春」では新たに、裏通りに面した壁にユースケースやデジタルマーケティングのフロー図掲示などを行いました。場所が場所なだけに、集客効果は薄いと考えていましたが、意外と皆さん足を止めてくれて。他の出展者の方が当社のフロー図を使って来場者に説明している姿も見かけました(笑)。
営業資料と同じく、展示会の装飾でも具体的なメッセージを打ち出すことが重要です。具体的になればなるほど、本当に必要としている方に届きやすくなります。「デジタルマーケティングを支援します」「デジタルマーケティングのコンサルティングをします」という打ち出しって、どこか胡散臭くないですか?具体的に何ができるのか、どんな成果があるのか、よくわからないですよね。
―― たしかに、金額に見合うサービスかどうかの判断も難しい……。
中村:
ですよね。よく言われるし当たり前のことですが、「自分がお客様の立場だったら、どう感じるか」が重要というか、それがすべてです。
集客の仕掛けだけでなく、ブースの全体の造りも顧客目線を徹底しています。抵抗感なく足を運んでもらえるように、照明は明るく、ブースの向こう側が見える抜け感のあるデザインにしています。「ここは通り道かな?」と思ってもらえるくらい、自然に入っていただけるブースが理想ですね。
その場で課題解決策の提示も!?お客様本位を徹底した接客
―― ブースに設置されたミニセミナー用のスペースも、開放的で立ち止まりやすいように感じました。
中村:
ミニセミナーの実施場所やモニターの向き、講演内容、講演者、講演時間などもこだわっています。講演内容は、当社が週1、2回実施しているウェビナーや今までの展示会で実施したミニセミナーで特に反響が大きかったテーマを選んでいます。講演時間も通常5〜10分程度と、立ち見になるお客様の負担にならない時間設定にしています。
ブース内のモニターで流す動画も、単なるサービス紹介動画ではなく、マーケティング業界の有識者の方々と当社社員がデジタルマーケティングを語る対談動画にしています。「わざわざブースに足を運んでもらった方に、少しでも価値のある情報を届けたい」という想いから、そのようにしました。来場者の方にとって価値のある情報とは、課題解決のみならず、その先にある未来像や事業規模拡大を実現するために有効な気づき・提案だと考えています。実際に、足を止めて頷きながら対談動画を観ている方も複数いて、良い試みだったと思っています。
―― 筆者も当日スタッフとして参加したのですが、「そこの動画を観たんですが、ちょっと聞いてもいいですか?まだツールとか何も考えてないんだけど……」と声をかけられました。
中村:
ありがたいですね。ブースに来るのは、明確な課題感や施策イメージがある方ばかりではないんです。「顧客管理はスプレッドシートでやっているが、管理が面倒なのでもっと楽にしたい」「顧客ごとに違う内容のメールを送ってみたい」といったふんわりした状態の方も多い印象です。「ツールを使って、すごく複雑なことをしたい」というよりも「目の前の困っていることを解決したい」という想いが強い。
その点、当社はセールスがコンサルも兼ねるので、そういったお客様にも価値のある情報提供をしやすいんです。その場で簡単な状況整理を行い、課題感や思い描いている施策内容をある程度はっきりさせた上で、場合によっては課題解決策の提示まで行うことができます。ここが競合他社との差別化ポイントであり、強みですね。もちろん、ご相談内容によっては、後日改めて詳しいお話をすることも多々あります。
また、複数のソリューションがあるため、提示できる解決策の幅が広いことも強みですね。これは展示会だけでなく、通常の営業活動でも同じなのですが、一度当社のセールスと会話すると、「シナジーマーケティングは幅広く対応してくれるので、今後なにか困った時に相談してみてもいいかも」と思っていただけるケースが多いんです。ブースに来てから一年後にご相談をいただく、なんてこともしばしば。当社の利益のみを追い求めるのではなく、真摯にお客様に寄り添う姿勢を評価してもらえているようで、とてもうれしく思います。
―― 受注面でも実際にプラスの効果が出ているんですね。
中村:
時間差でのご相談だけでなく、ブースに来てくれた方の商談化率も約10%から約30%まで大きく伸びています。その場で、課題解決の提案まで持っていける点がやはり強いですね。接客スタッフの大半がインサイドセールスや新規顧客開拓を担当するセールスなので、初めてお会いするお客様の気持ちや必要とされることをよく理解していることもプラスになっているかもしれません。
■展示会に来場したお客様とのエピソード
- ブース前でちょっと立ち話のつもりが、会話がはずみ、デモまでしっかり見てくださり、「いつの間にこんな時間に……!?」となったお客様がいらっしゃいました。時間を忘れるほど、お客様の興味関心に合ったご提案ができて、とてもうれしく思いました。
- お客様からのヒアリングをもとにセールスが紙に細かくフロー図を書き、しっかり課題整理を行ったケースがありました。とても明るい表情でお帰りになったので、お役に立ててよかったです。
- 「今やっているマーケティング施策が適切かどうか不安で……」とのご相談いただいたお客様に、詳細をヒアリングの上、情報提供を行いました。セールスとの会話を通して不安が払拭された様子で、「話を聞いてよかった。帰社したら、一度試してみます」と笑顔でお帰りになりました。
―― ブースに置かれているパンフレットも、Synergy!、Synergy!LEAD、DX BOOSTER、デジハイクなどの提供サービスから万博協賛のお知らせまでと、大変幅広いですよね。
中村:
毎回、パンフレットは出せるだけ出していますね。「第33回 Japan IT Week 春」の展示会では、8種類ほど置いていました。どんなご相談でも打ち返せるように、紹介できるサービスはすべて紹介したいと思っています。
出展者がどの事業部でも、お客様からしたらひとつのシナジーマーケティングなので、事業部関係なく、提案できる時にどんどん提案すべきだと考えています。来場してくれた方と会話して、他事業部のサービスに当てはまりそうな要件だった場合は、すべてメモ化して、該当の事業部にアプローチしてほしい旨を伝えています。2023年の冬ごろからは、他事業部と合同のブースも出しはじめていて、今年の福岡も、DX事業部といっしょに出展する方向で進めています。
提供できるソリューションが多いことは、お客様と当社の双方にとって大きなメリットだと思っていて。お客様にとっては、範囲を気にせずなんでも相談しやすいだけでなく、デジタルマーケティング領域を総合的に支援してもらうことで、効果の最大化を目指すことができます。当社としては、事業部をまたいでリードを紹介しあうことで、売上や提供サービスの質の向上が見込めます。
ともに、課題解決の先にある「新たな領域」へ
―― コロナ禍を機にデジタル化が進んだ企業もありますが、来場者の言動に変化はありますか。
中村:
以前に比べると、最適解ではないが、まずは自分たちでできるデジタルマーケティング施策に着手している方が増えた印象です。「お客様へのメール配信はしているが、顧客属性ごとのセグメント配信までは手をつけられていない」「顧客管理はしているが、ツールはまだ使用していない」といったケースが、よく聞かれます。私たちが接している限りでは、コロナ禍によってデジタルマーケティングリテラシーが急速に高まったかというと、そうでもないように思います。
Synergy!は、多機能かつ操作がシンプルで専門知識がない人でも簡単に使えるので、課題解決策のひとつとして考えていただけるとうれしいですね。選択肢として思い浮かべてもらうために、「今あなたが悩んでいて実現したいと思っていることは、Synergy!を活用すれば簡単にできますよ」ということをもっと広く伝えていきたいです。「今いる場所から新たな領域に一歩先に踏み出す敷居は、意外と低いですよ」と。
―― 次の展示会に向けた、新しい取り組みはありますか。
中村:
私たちからお伝えした課題解決策を、その場で実際にSynergy!を使って体験してもらう仕掛けを作りたいですね。どうしてもご提案した内容と実際にツールを使った作業イメージがつながりにくいので、デモを見せることで、より具体的にSynergy!の良さを理解していただける場になればと。
私たちは提供できるソリューションが多いだけでなく、さまざまなフェーズのお客様に対して広くご支援してきた経験があります。お客様にとって新しい未知のデジタルマーケティング領域に踏み込む際にも、ご支援できることが多々あると考えています。展示会を通して当社サービスを必要とする方々にこの情報を伝え、「課題解決に向けた、成果の出るデジタルマーケティング体験」を提供していきたいですね。デジタルマーケティングに悩むすべてのマーケターの力になれるように、これからも真摯に取り組んでいきます。
シナジーマーケティングは、展示会への出展やマーケティングセミナー(ウェビナー)の配信、ブログなど、デジタルマーケティングに関するナレッジの発信を積極的に行っています。
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