noteの運営を通じて、社内外のコミュニケーション活性化を実現 〜 オープンな情報発信の強化に向けた取り組み 〜
シナジーマーケティング株式会社は、ビジョンに掲げる「人と企業が、惹かれ合う世の中へ。」を目指して、デジタルマーケティング支援や事業運営で培ったノウハウのオープンな発信に注力しています。
クラウドベースの国産CRMシステム「Synergy!(シナジー)」を提供するクラウド事業部のメンバーが運営するnote「デジマケnote」「シナマケのプロダクト」もその一つです。
- デジマケnote
デジタルマーケティンググループのメンバー全員(約15名)で書いているnote。お客様のデジマ支援をする上で考えたことや苦悩、喜びなど……「主観」を大切に発信しています。 - シナマケのプロダクト
シナジーマーケティングのプロダクト「Synergy!」に関わるさまざまな職種のメンバーが、自身の経験を元に、ビジネスに役立つ情報をお送りします。
どちらのnoteにも共有しているのは、「これまで培ってきたメンバーの経験をもとに、読者に有益なノウハウや情報を提供したい」という思いです。情報発信と一口にいっても、記事の企画から執筆、編集、公開、効果計測などやることは多く、通常業務と並行して運営を続けるのは簡単なことではありません。
今回は、noteでの情報発信を続けるための体制構築や実施した効果、今後の展望などについて、各noteをリードする運営の皆さんに語っていただきました。
プロフィール
出口 潤 / クラウド事業部 第1デジタルマーケティングG
「デジマケnote」のプロジェクトオーナーおよび初代編集長。オウンドメディア運営は未経験のため苦労することは多いが、「楽しむ」をモットーに日々試行錯誤をしてオウンドメディア運営と向き合っている。普段の業務ではデジタルマーケティング領域のプロデューサーとしてお客様を支援。
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小川 加奈子 / クラウド事業部 第1デジタルマーケティングG
「デジマケnote」のモチベーションアップ&社内外への広報隊長を担当している。メンバー一人ひとりの考えや気持ちを大切にしたい気持ちと、スムーズな運営のバランスで四苦八苦している。
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小楠 裕子 / クラウド事業部 第6アカウントソリューションG
Synergy!のセールスグループに所属し、それぞれのお客様にあったSynergy!の使い方の提案や業務設計支援を遂行。
「お客様の成功」を合い言葉に、個人だけでなくチームとしてできることを日々模索しているなかで、自分で企画し実行できるスキルの必要性に気づく。その勉強のため、営業業務と並行してPMM(プロダクトマーケティングマネージャー)*1 で見習い修行を行い、その一環で「シナマケのプロダクト」の進行を担当。
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マーケティング領域の課題を抱えるビジネスパーソンの助けになる情報発信
―― note「デジマケnote」「シナマケのプロダクト」を運営することになった背景を教えてください。
出口:「デジマケnote」は、当社のグループマネージャーや複数のメンバーからの「情報発信をしていきたい」という声がきっかけです。その際に、メンバーのひとりから「オウンドメディアをやりたい」という意見もあり、立ち上げの工数を考慮してnoteを選択しました。
実施目的としては、「デジタルマーケティング事業の認知拡大」と「読者のデジタルマーケティング課題の解決に寄与する」の二つです。僕たち第1と第2デジタルマーケティングGは、Synergy!を導入しているお客さまに向けたデジタルマーケティング領域のサポートを行っているので、「noteの記事がお客さまの課題解決の一助になれば」という思いがありました。
小楠:「シナマケのプロダクト」は、PMM(プロダクトマーケティングマネージャー)のミッションである「Synergy!に好感を持ってもらう」「Synergy!の認知を上げる」の二つを達成するための手段の一つとして始まりました。InstagramやYouTube等いくつかある発信チャンネルのなかにnoteを利用するという選択肢があった、という形です。
―― どちらのnoteも「提供サービスの認知向上」を目的にしていますが、コンセプトが「デジタルマーケティングGメンバーの『主観』を発信するエッセイ」と「ビジネスに役立つ情報を発信する」で、方向性が違っているのは面白いですね。
小川:「デジマケnote」では、外向きの目的を達成するために「発信文化を根付かせたい」「執筆側と運営側双方のハードルを下げて、長く発信を続けたい」という内向きの目的がありまして。その兼ね合いで、「デジマメンバーの『主観』を発信するエッセイ」というコンセプトに決めました。
出口:第1と第2デジタルマーケティングG全体のOKR *2として設定し、メンバー15人全員でnoteを執筆することになったんですが、そもそもみんな「記事を書く」ということに慣れていなくて。僕なんかは、いまだに苦手意識の塊ですよ。小川さんはコピーライターなので違うかな?
小川:私は好きですが(笑)、もちろん苦手意識のあるメンバーもいました。「情報発信」という四文字で表現されると、みんな構えてしまうんですよね。「人に伝えるほどのノウハウなんてないよ」といった気持ちが出てきてしまいます。実際、プロジェクトが始まってすぐの頃は、会議の空気がかなりピリピリしていたと聞いています。
そこで、少し言葉を変えて「エッセイを書いてほしい」と伝えるようにしたんです。メンバーからの反応は比較的良かったですね。「自分の気持ちを書くだけなら、書けるかもしれない」と言ってくれるメンバーもいました。
出口:エッセイであれば、個人の主観なので細かく内容をチェックする必要もなく、運営側の負担も減らすことができます。実際に、僕たちのnoteでは、記事の企画から執筆、入稿作業にいたるまで、執筆者にお任せするスタイルにしています。通常業務と並行してnote運営をすることになるので、運営フローの圧縮はマストでした。
小川:上がってきた原稿は出口さんもしくは私が確認するんですが、チェックするポイントは「公序良俗に反していないか」「私たちの仕事に関係のある内容か」の二点だけです。SEOや誤字脱字も気にしていません。誤字脱字は、公開後に気づいたら直すスタイルです(笑)
出口:執筆側と運営側のハードルが下がった結果、第1と第2デジタルマーケティングG内で、「まずは情報を発信してみる」という習慣が根付いたように思います。もちろん15人全員がそうではないですし、短期間で書くことへの気持ちが前向きになることもないので、来期以降は、一人でも多くのメンバーが前向きに「情報を発信したい」と思えるように、プロジェクトをドライブしていきたいですね。
―― 一方で、「シナマケのプロダクト」は提供プロダクトの色が強いですよね。
小楠:「シナマケのプロダクト」は、「Synergy!」というプロダクトを看板にしているので、「発信する情報は正確か」「Synergy!としてのトンマナに合っているか」「Synergy!を導入しているお客さまが不快にならないか」といったことに、特に注意して進行しました。
運営フローも真逆ですね。PMMメンバーのみのOKRとして組み込まれていることもあり、記事の企画から執筆者の指名、編集、校正などの執筆作業以外のフローをすべてPMM3名で担っています。「どういったテーマの記事が必要か」「このテーマなら、どの部署のどの職種の誰が適任か」などを熟考して進めています。
―― 「デジマケnote」では、立ち上げ当初、空気がピリついていたとのお話がありましたが、「シナマケのプロダクト」でもそういった雰囲気はありましたか。
小楠:ありがたいことに、それはなかったですね。あらかじめこちらでテーマを指定し、ノウハウを持っていそうな方を職種ごとに選んだ上で、その方のGM(グループマネージャー)にご相談して執筆依頼をする、という方法を取ったのが良かったのだと思います。執筆期間を一か月程度は確保するなど、執筆者にとって無理のないスケジュールになるように心がけた点もプラスだったかもしれません。
出口:noteを運営する期間や執筆本数の違いもありそうですよね。僕たちのnoteは長く続ける前提かつ一人で何本も記事を書く必要があるので、どうしても負担感を感じやすくなるのかもしれません。
小川:日頃、お客さまに「コンテンツマーケティングをやるなら、苦しくてもメディアは更新し続けないと駄目ですよ!」とアドバイスしている私たちが、「メイン業務が忙しいので、noteの更新を止めます!」とは言えないよね(笑)。
小楠:確かに(笑)。私たちのnoteは、ある程度運営する期限が決まっていて、執筆者一人に対して一記事程度の執筆量なので、その違いもありそうですね。
noteの運営がチームビルディングの代わり!?部署を超えたコミュニケーションも誕生
―― 半年ほどnoteの運営をしてみて、プロジェクト内に変化はありましたか。
出口:「デジマケnote」では、noteの運営に対するグループ内の空気がプラスの方向に変わったと感じています。立ち上げ当初は、通常業務が忙しいなか、工数をかけてnoteを運営することに対して疑問視する意見もいくつか出ていて、会議の空気がピリつくことも何度かありました。
小川:突破口になったのは、上半期が終わるタイミングで実施した振り返りでした。Slackで全員に執筆した感想を募ったら、「辛かった」という意見だけでなく、前向きな感想やアイデアの提案も多数聞かれました。ぽつぽつと胸の内を語ってくれたんです。
それを受けて、プロジェクト内のコミュニケーションをもっと深めていくべきだと考え、出口さんや私の方で、原稿を提出してくれた時に、記事の感想や労いを添えたり、ネタアイデア会を開いたりと、工夫するようになりました。無反応なときもあれば(笑)、うれしいスタンプがつくこともあります。
出口:記事のViewがすごく伸びているとか、スキの数がたくさんついたとか、そういうことでは人って動かないんですよね。数字よりも、「この人って、普段こんなことを考えているんだ」「この記事、こういうところが面白かったな」などの感想や意見をフランクに言い合える空気を作ることの方が、モチベーション高く運営を続けていく上では大切だと思いますね。その空気感を醸成できてからの数字ではないかと。
小川:あるメンバーが書いた「この記事制作から感じたこと」という記事があるんです。この記事によると、最初はnoteに対して後ろ向きだったそうです。でも、プロジェクトの雰囲気の変化を感じて、前向きな記事制作ができそうだと。まさに徒然なるままのエッセイでした。「こんな風に思っていたのね……グスン」と、私は感激しました。
今でも、これからも、一人ひとりの考えやモチベーションはバラバラです。その上に見えづらいので、私は空回りしている感覚もあるんです。でも、こんな風にnoteの記事上で、Slackで、オフィスで、酒の席で、ぽつりと伝えてくれることがあります。前向きな声も後ろ向きな声も、ぽつりと。それがうれしいですね。運営側はハートを強くもって、信じていることを推進していこうと、そのたびに思います。
―― noteの運営を通して、チームビルディングをしているみたいですね。
小川:まさに。第1と第2デジタルマーケティングGの間で強い一体感が生まれてきたように感じます。改めて、noteによる情報発信を推し進めてきてよかったと思っています。通常業務では一つのプロジェクトにメンバー全員がコミットする機会がないため、非常に良い機会になっているのではないでしょうか。
―― 「シナマケのプロダクト」は執筆者が部署を跨ぐので、PMM3名の間での変化や部署間の連携に関する変化について、聞かせてください。
小楠:PMM間では、二投稿目でViewが大きく跳ね、noteでいい反応を得られることが実感できたことで、より雰囲気が前向きに変わりました。記事の企画や公開をオンスケで進められた時や毎週3人で数字を確認してそれが伸びていた時などに、特にモチベーションが上がりますね。
執筆者との連携面では、執筆者用のSlackチャンネルを別途作り、執筆側と運営側で密にコミュニケーションを取れるように工夫しました。実際に、ハレーションや大きな問題もなく順調にプロジェクトを進められたので、スケジュール感や記事のテーマなどに対しても、不安なく執筆してもらえたと思います。
■執筆もしくは企画・編集を約半年間手がけた感想(一部)
【気づき】
・「書く」ということへの抵抗感は低くなった。一方で、やはり主業務があるなかで時間を捻出するのが大変だった。
・(記事が)名刺代わりになる。
・自分の業務をノウハウに昇華させて、誰にでもわかるような文章に可視化することで、整理できたこと。
・記事を企画・執筆するなかで、多くの種類・多くの記事があることを知り、自身の業務に関連する内容の知見を増やすために活用した。
・手軽に記事を作成し公開できたので、施策を早く回すことができた。
・編集することで、執筆者の役割や業務、悩みなどを深く理解できた。コンテンツ作りの一連の流れを体験できた。
【課題】
・執筆に費やした時間分の成果があまり見えてこないのも、モチベーション維持が難しいポイントに感じる。
・書きたい、発信したいことが特にない状態でも、ミッションの関係で無理に書く事をひねり出さねばならない事(に悩んだ)。その結果、自分が納得いっていない(低いと感じる)クオリティの記事をただ公開するだけになってしまっている事は、noteを執筆する上で大きな課題になった。
・フォロワーを増やすこと、タグの使い方に悩んだ。
・無償版のため、反応データは最低限しか見ることができなかった(効果検証しづらい)。
―― プロジェクト内の連携だけでなく、社内でnoteを運営する皆さんでも月一で集まってコミュニケーションを取られていたのだとか。
小川:みんなほぼ同時期の運営スタートかつnoteを触るのが初めて、という状態だったので、まずは横の繋がりを作って悩みごとを相談しつつ進められたら、と考えました。
小楠:私たち運営側の期待した効果が得られる方法を知りたくてnoteのノウハウを調べていたのですが、なかなか確証のある情報にたどり着けず、「どうしたらViewが伸びるのか」「スキがつくのか」を手探りでいろいろ試していた状況でした。
試してはみるものの、自分たちの記事の数字がいいのか悪いのかもわからないので、そんな時に他のnoteを運営している皆さんの話を聞いて、「自分たちの方向性は正しいのか」「数値が上がるように動けているのか」を確認できる場があったのは心強かったですね。
小川:定例会、やってよかったですよね。真面目なアジェンダだけでなく、だらだらと近況などをライトに話せたのも、良い気分転換になっていました。同じ会社で同じnoteを運営する皆さんと一か月に一回ざっくばらんにお話しするだけでも、自分たちのnoteを客観的に見られるんですよね。
「〇〇の視点では、この数値をKPIとして設定するのは適切ではないのではないか」といったディスカッションもありましたね。
小楠:ありましたね。あとは、小川さんがnote株式会社のセミナーに出席して得た知見を共有してくださったことも。「noteは、フォロワー数を追うのはあまりよろしくない」「〇〇といった内容を発信するとよさそう」など、勉強になりました。
小川:あのセミナーはすごく勉強になりました。
出口:知見の交換という意味では、一例をあげると、「シナマケのプロダクト」で公開された顧客理解のための顧客満足度調査に関する記事がとてもバズったことがあり、その要因の分析結果を共有をしてもらったこともありましたね。
noteはただのWebメディアではなく、社内コミュニケーションツールの一つ
―― 同じnoteというプラットフォームを活用する同志として連携を取りながら進めていたのですね。改善を重ねながら半年ほど運営されていますが、社内外の反応はいかがですか。
小川:ありがたいことに、いろいろ反響をいただいています。というのも、私が、社内外問わず、それこそnoteの中の人にまで「デジマケnoteを見て!」と宣伝しているからなんですが(笑)。ただ運営するのではなく、公開した記事を見てもらうために積極的に働きかけるのも重要です。皆さん、結構見てくれますよ!
社内では、セールスが「提案に使えそうだ」と言って、記事をそのまま提案時に使ってくれたり、提案書に内容を盛り込んでくれるケースがありましたね。先日プロジェクト発足から8年が経った竹中工務店様の記事を公開したんですが、「地道な取り組みの様子がよくわかる」ととても好評でした。Slackで面白かったと呟いてくれる人もいます。それを見つけた時は、すぐにプロジェクトのSlackで投稿を共有するようにしています。
社外では、お客様とお話ししている時に、記事の感想をいただくこともありますね。当社の元社員の方がフォローしてくれるケースもあります。
出口:反響があることに加えて、社内というかデジタルマーケティングG内のコミュニケーションが、特に活性化しているように感じています。記事って、執筆者の考えや特徴が少なからず出るので、コミュニケーションのきっかけの一つになるんですよね。そういう意味では、社内コミュニケーションツールの一つとしても、noteは使えそうだなと思っています。
小楠:「シナマケのプロダクト」では、noteのまとめ記事にピックアップしてもらえたり、他社のnoteに取り上げてもらったこともありました。
Xでは、記事公開の告知に対して、パートナーになりうる企業様から直接コメントをいただいたり、当社の元社員の方がアカウントをフォローしてくれたり、リポストしてくれたりと、いい反応がありましたね。
―― noteの運営を通じて、社内外で新しいコミュニケーションが生まれているのですね。最後に、今後の展望を教えてください。
出口:来期は、まず社内で「デジマケnote」の存在感をいかに出していくかがテーマになります。せっかくWebメディアを運用しているので、自社のWebメディアのなかでもPV数が特に多いCRMのプロが書くマーケティングBLOGに追いつけ追い越せで伸ばしていければと考えています。
小川:そのために、執筆者のモチベーションアップについてさらに工夫していく予定です。この下半期は、執筆側も運営側もnoteとの熱愛期なので比較的うまくいきましたが、時間が経つにつれて執筆メンバーも私たち運営メンバーも飽きてきて倦怠期に突入してしまいます。そうなった時にもモチベーション高くnoteを運用し続けられるように、今から出口さんといろいろ考えています。
小楠:「Synergy!の認知を上げる」という目標に対して、noteは一定効果があったので、来期も引き続きnoteを活用していきたいと考えています。よりSynergy!に対してポジティブな印象を持っていただけるようなコンテンツを用意したいですね。これまでSynergy!に接点がなかった人にも、有益な情報や提供サービスの認知を広めていきたいです。
当社では、今回ご紹介したnoteの他にも、デザイン・サービスデザイン・HR(人事)のメンバーによるnoteが運営されています。以下のURLより閲覧できますので、ぜひご覧ください!
■シナジーマーケティングのnote一覧
https://note.com/synergymarketing/magazines
1 カスタマーサクセスやセールス、マーケティングなどビジネスサイド(売る側)と開発サイド(作る側)とのハブになり、プロダクトの認知拡大や販売促進、機能の企画に必要な情報を集め、推進を行うポジション。
2 Objectives and Key Resultsの略。目標の設定・管理方法の一つ。従来の方法と比べて、より高い頻度で目標設定や進捗確認、再評価をすることが特徴。対象となる従業員が目標に対して同じ方向を向き、一丸となって目標達成までの計画を滞りなく進行するために有効とされている。