合同プロジェクト発足。自然とともに生きる「地域」と「人」をつなぐ新たなコミュニケーションづくりへの挑戦。

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シナジーマーケティングが参画するC=ISM(サービスデザイン・ユニット)と、株式会社自然教育研究センターは、この度、同社が掲げる自然教育の想いと地域の人をつなぐ新たなプロジェクトを立ち上げました。

2022年6月23日に行われたキックオフ会議にお邪魔して、参加するメンバーにインタビューを行い、プロジェクトの経緯や未来への展望について語っていただきました。

*写真左上から、大平さん(株式会社ユウクリ)、和田さん(シナジーマーケティング株式会社)、冨樫さん(株式会社自然教育研究センター)、梅田さん(株式会社自然教育研究センター)、村上さん(株式会社自然教育研究センター)、前列左から、井上さん(コニカミノルタ株式会社)、河又さん(株式会社自然教育研究センター)

「地域」「自然」「人」をつなぐコーディネーターの役割

高尾ビジターセンターや奥多摩ビジターセンターなど複数の施設の指定管理者である株式会社自然教育研究センター(1990年設立、略称:CES、以下:CES)は、「自然とともに生きる地域と人づくりのコーディネーター」というコンセプトを掲げ、施設管理・自然教育・環境教育に関する事業を展開しています。

村上さんと河又さんが所属する高尾ビジターセンターでは、同社が掲げるビジョン※2に基づいた来訪者へのプログラムや日々の情報発信を行っています。村上さん曰く「ひとことで言うと、その場所を歴史も含めて好きになってもらい、大切に守り育ててもらうための活動」となります。

※1:インタープリテーション:体験や教材を通して、事物や事象の背後にある意味や関係を明らかにすることを目的とした教育活動
※2:ビジョン:「高尾ビジターセンターは、高尾山、及び高尾地域を訪れるすべての人が、安全に安心して自然、 歴史、文化を楽しみ、それらの資源がこの先もずっと保全されていくことを目指す。」

CES 河又:
日々、どうすれば自然を通じてこの地域を好きになってもらえるのかという観点から、登山者とのコミュニケーションを検討・実践しています。例えば、自然教育の場合、ただ「そこに自然がある」「自然は面白い」というだけではなく、そこにインタプリテーション※1の理論等も活用して、歴史や文化、この場所(資源)の存在価値等も織り交ぜ、新たな気づきや記憶の定着を促すプログラムを実践しています。

高尾山について語る河又さん

日々感じていた課題。C=ISMとの出会い。

コロナ禍での施設の臨時休館や生活者の行動様式が大きく変化する中、自社で大切にしているビジョンをより多くの方々へ届けたいという課題がありました。

CES 河又:
自然の魅力を通じて、当社の掲げるビジョンに近づけるために「新しいことに挑戦してみよう」という話になったんですね。その流れで、新商品・新プログラムの開発を検討することになりました。
当社はこれまでも、登山者とのコミュニケーションの一環として、自然を題材にした商品開発・販売、日々の自然教育プログラムの開発などを行っていました。新しい商品・プログラムを開発する上で、私たちが伝えたい想いの本質はどう受け止められていて、どのようにすれば受け入れてもらえるのかを理解せずに、思い込みで施策を進めるこへの危うさを感じていたんです。

そもそも、私たちは自然が大好きでこの仕事をしています。しかしそれ故に、私たちが面白い・アピールしたいと思っている点が、情報の受け手にとっては実はピントがずれている可能性もあるかもしれないと感じたんです。

このようなコミュニケーション全般に対する漠然とした課題を相談する相手もおらず、何をすればよいかわからずに悩んでいた頃に、C=ISMのセミナーに出会いました。顧客の本質を理解するためのノウハウと実務への反映プロセスなどを知り、「こんな世界があるのか」と感じたんですね。それが今回のプロジェクト実現のきっかけです。

C=ISM(Create = image × science × marketing)とは、各分野の専門集団である株式会社ユウクリ、コニカミノルタ株式会社、シナジーマーケティング株式会社が結集したプロジェクト遂行型のサービスデザインユニットです。詳しくはこちら


シナジーマーケティング 和田:
CESさんの取り組みは、地域・自然・人、更に「教育」という概念に近いものを対象とした、とても難易度の高いコミュニケーションデザインだなと思いました。しかしその反面、今の社会風潮は追い風でもあるな、とも思ったんです。

「コト消費」が謳われて久しいですが、年々エモーショナルな体験(消費)の重要性が高まっていると実感しています。自らの体験が特別で、価値や意味があり、貢献できたということが実感できる体験が求められているんですね。更に、その体験を提供している会社のビジョン・あり方そのものが信頼に足るか問われる時代でもあります。なので企業側としては、ビジョンから行動に至る節々まで、一貫性のあるコミュニケーション設計が大切になってきます。ただ、顧客からすると、企業目線の一方的な価値提供や宣言と受け取られる事が往々にしてあり、そうなると顧客が取り残されてしまう恐れがあります。

そうした点からも、企業の行動原点は「顧客理解」から始まるのだと再認識しました。
また、社会の視線が自然や環境問題にも向き始めていますよね。この地域を訪れた方に、自然から得られるエモな体験を通じて、知ることの楽しさをはじめ、自然に対する視野を広げるきっかけになるのではないかとも思っています。

コニカミノルタ 井上:
私たちが大切にしているのは、顧客体験価値向上に向けたコミュニケーションをただ提案するだけではなく、実行フェーズまでお客様とともに伴走しながら支援する姿勢です。C=ISMの3社が持つ強みや最新のノウハウを活用しながら、人の持つ価値観・感じ方に寄り添った体験価値を紐解き、お客様に心から満足してもらうためのコミュニケーションをデジタル・非デジタルを問わず設計します。
今回のプロジェクトを通じて、地域活性という側面からもどのようにブランディングしていくかという新しい挑戦ができること、個人的にもとてもワクワクしています。

CES 村上:
マーケティングの領域での、顧客理解の重要性など、C=ISMさんとは私たちが普段見ている世界とは全く違った視点での話ができたのが大きかったですね。そこもプロジェクトが実現した1つの理由になっています。我々スタッフだけで話をするとどうしても自然にのみに視点がいくことが多く、限界を感じることもあったんです。これまで外部とのコミュニケーションの領域は専門外だったので、C=ISMさんの持っているノウハウも活用させていただきながら、一緒に良い取り組みに育てていければと考えています。

同社が抱える課題について語る村上さん

局所的な商品・プログラムの改善だけではない。顧客体験価値の創造に大切なこと。

「地域・自然」を舞台にしたコミュニケーションデザイン。同社ではこれまでも「東京の豊かな自然と体験し、好きになってほしい」という想いを込めたオリジナルブランド「Feel Nature in Tokyo」を立ち上げ、オリジナルグッズ※3や自然体験ツアーなどのプログラムを展開しています。

CESの掲げる自然教育への想いや自然の魅力を伝えるため、C=ISMでは、「価値観」「感性」の把握・顧客の本質理解に立脚したコミュニケ-ションデザイン、マーケティング組織の強化、オペレーションの仕組み化までを伴走支援する予定です。

※3:キックオフMTG当日もCESのみなさんはお揃いの「Feel Nature in Tokyo」Tシャツを着用されていました(集合写真参照)。

シナジーマーケティング 和田
商品やプログラムといったアウトプット自体に目がいきがちなのですが、それはコミュニケーション手段の一部なんです。顧客は企業が発信する様々な情報を五月雨に受け取っています。最も重要になってくるのは、ホリスティック(全体的)な視点を持つことです。

 ・顧客がCESさんと出会うことでどのように変化してほしいのか
 ・この場所でどのような体験をしてほしいのか
 ・商品を持っていることでどのような感情を抱いてほしいのか

などについて、企業のビジョンに沿った形で、大きな方向性を定義する必要があります。

顧客理解を前提としながら、上記を最初の羅針盤として全体のコミュニケーションを設計し、具体的な手段・アウトプットに落とし込み、お客様の体験価値を高めていく必要があります。

まず、最初のステップとして、CESさんを取り巻く環境の理解や、ビジターセンターへの来館者や登山者は同社のスタッフさんからどのように見えているのかなど、我々C=ISMメンバーを含むプロジェクトメンバー全員が知るところから始まります。

プロジェクトの先にある叶えたい未来。

当プロジェクトはまさにはじめの一歩を踏み出したばかりです。当記事の最後に、プロジェクト通じて実現したい未来やビジターセンターを訪れる方に感じて欲しい想いを伺いました。

CES 河又:
ひとことでいうと、自然に関わっていく人を増やしたい ですね。近年、アウトドアへの注目・関心も高まっています。キャンプなどをきっかけにして、自然に触れる方も増えてはいますが、まだまだ私たちの施設を訪れる方の層が広がってきたようにはあまり感じていないんです。C=ISMさんとのプロジェクトを通じて新しいファンに出会い、自然や地域の素晴らしさや面白さを感じていただき、高尾山以外の公園にも行ってみたいよねと思っていただけるようといいなと思っています。

CES 村上:
自然を通じて、地域と人をつなぐきっかけづくりになればいいですね。「大好き!」とまではいかなくとも、「好き」という気持ちだったり少しでも自然や地域に興味を持ってもらえる方が増えるといいなと思っています。私たちが掲げている自然教育の考え方でもありますが、自然そのものだけではなく、その背景にある地域や歴史などへの解像度が上がっていく、そんなきっかけを作れるプロジェクトにしていければと思いますね。

シナジーマーケティングおよびC=ISMでは、物事や生活のデジタル化が進む一方で、人と人・人と企業の繋がりがより重要になると考えています。短絡的に消費行動が変化したと捉え、顧客とのコミュニケーションを一律に変更するのではなく、顧客一人ひとりの本質を理解した上でのコミュニケーションの実行の支援をしております。 

登場人物プロフィール

株式会社自然教育研究センター(略称:CES)

村上さん
高尾ビジターセンターのチーフインタープリターとして、自然観察プログラムの企画や施設の管理計画の作成、人材育成を行う。また、多摩山梨地域エリアマネージャーを兼務し、御岳、奥多摩、山のふるさと村の各ビジターセンターの連携に取り組む。

河又さん
高尾山ビジターセンターにて、動画での自然教育コンテンツ制作・発信やグッズ開発・販売などに従事。コロナ禍における顧客接点の創出に向け、オンラインショップの立ち上げ・YouTubeでのコンテンツ発信、オリジナルグッズブランドの開発にも携わっている。

C=ISM

コニカミノルタ 井上さん
コニカミノルタ株式会社所属。コニカミノルタ株式会社テクノロジーセンター入社後、有機ELの色・輝度評価、劣化解析等を基にしたデバイス・材料設計の研究開発に従事。現在は文科省COIプログラム参画時の研究および有機EL研究開発で得た色・画像評価技術を活かし、感性の見える化の技術開発・新規事業立ち上げに従事。本プロジェクトでは主に、感性の見える化によるクオリティーアドバイザーを担当。

ユウクリ 大平さん
株式会社ユウクリ所属。人材派遣、人材紹介において企業の採用コンサルティング・クリエイターのキャリア支援を経て、マーケティング部門立ち上げに従事。現在は人材コンサルティング事業部 執行役員CSOとして、クリエイターに特化した人材派遣サービス・人材紹介サービスなど、企業のクリエイター活用・採用に関する責任者を務める。本プロジェクトでは主に、コミュニケーション施策におけるクリエイティブアドバイザーを担当。

シナジーマーケティング 和田さん
シナジーマーケティング株式会社所属。R&D(研究開発)に所属し、ニューロマーケティング、Societasをはじめとした「価値観マーケティング」の事業開発に従事。現在はマーケティングプロデューサーとして、様々なクライアントに「顧客理解」を起点としたマーケティング支援やコンサルティングを行う。本プロジェクトでは主に、コミュニケーションデザインと顧客理解に基づいたマーケティング戦略設計を担当。

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